2002 Fiscal Year Annual Research Report
公共圏の中の科学技術に関する科学論的・政治哲学的研究
Project/Area Number |
14580007
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
小林 傳司 南山大学, 人文学部, 教授 (70195791)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
副田 隆重 南山大学, 法学部, 教授 (20115588)
横山 輝雄 南山大学, 人文学部, 教授 (80148303)
服部 裕幸 南山大学, 人文学部, 教授 (40110754)
沢登 文治 南山大学, 法学部, 助教授 (40247672)
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Keywords | 公共性 / 知の「正当性」 / 意思決定の「正統性」 / 市民参加 / ガバナンス / ジャーナル共同体 / deliberate democracy |
Research Abstract |
本研究は、公共圏の中の科学技術のガバナンスの解明を目的としている。ガバナンスという概念は、従来の統治者-被統治者の対抗的、権力的関係に依拠したパターナリスティックな構造から、開かれた公共圏を媒介とした多様なステークホルダーの対話と協調を中心とした共治とも言うべき構造を表現するもので、近年の政治哲学で注目されているものである。本年度は、小林傳司編『公共のための科学技術』を出版し、現時点での、科学技術の公共的ガバナンス論の成果をまとめ、これを叩き台に、政治学者を中心に活発に活動を続けている公共哲学研究会との共同研究会を開催し、以下の基礎視角の共有と深化を試みた。 基礎視角(1)社会における科学技術をその知的、物質的威力としてのみならず、権力や権威を伴う政治的威力として分析すること。 リサーチクエスチョン:科学者共同体において確保される知的「正当性」と、科学技術が関連する社会的意思決定において、科学的知識が果たす「正統性」提供機能との関係はどのようなものか。 基礎視角(2)社会における科学技術のガバナンスを、科学技術者だけではなくより広い範囲のステークホルダーを含めて考察すること。 リサーチクエスチョン:科学技術が関連する社会的意思決定に「市民」が参加する場合、専門家の役割とは何か。 基礎視角(3)社会における科学技術のあり方を、研究者集団内部の、及びその外部とのコミュニケーション構造として把握し、政治学的概念である、公共圏、ガバナンスの科学技術への適用の可能性を検討すること。 リサーチクエスチョン:アカデミックジャーナル共同体における知識の妥当性水準と公共圏におけるそれとの関係は何か。科学のからむ意思決定における、deliberate democracyの可能性。
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Research Products
(20 results)
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[Publications] 藤垣 裕子: "科学技術と公共性"科学技術社会論研究. No.1. 44-50 (2002)
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[Publications] 平川 秀幸: "科学技術と市民的自由"科学技術社会論研究. No.1. 51-58 (2002)
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[Publications] 平川 秀幸: "『われわれの科学』を作るには-知識の公共性と市民的自由"現代思想. Vol.30, No.11. 165-171 (2002)
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[Publications] 平川 秀幸: "遺伝子組換え作物のリスク管理における不確実性への対応"バイオサイエンスとインダストリー. Vol.60, No.5. 54-57 (2002)
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[Publications] 木原 英逸: "専門性と公共性:社会的認識論の観点から"国士舘大学政経論叢. 121. 1-27 (2002)
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[Publications] Hidetoshi, KIHARA: "How to Shoulder the Social Responsibility of Techno-Scientists : Japanese case"国士舘大学政経論叢. 122. 83-89 (2002)
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[Publications] Yuko, Fujigaki: "Analysis on Dynamics of Development in Research Themes in Interdisciplinary Fields : Analysis Using Personal Distribution versus Papers"Scientometorics. Vol.54 No.1. 63-74 (2002)
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[Publications] 山脇直司: "経済の倫理学"丸善. 180 (2002)
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[Publications] 平川 秀幸: "科学論の現在 実験室の人類学"勁草書房. 284 (2002)
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[Publications] 小林 傳司: "科学論の現在 科学コミュニケーション"勁草書房. 117-147 (2002)
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[Publications] 藤垣 裕子: "科学論の現在 科学政策論"勁草書房. 149-179 (2002)
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[Publications] 小林 傳司: "公共のための科学技術 科学技術と公共性"玉川大学出版部. 294 (2002)
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[Publications] 藤垣 裕子: "公共のための科学技術 科学的合理性と社会的合理性"玉川大学出版部. 35-54 (2002)
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[Publications] 木原 英逸: "公共のための科学技術 専門性と共同性"玉川大学出版部. 55-81 (2002)
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[Publications] 平川 秀幸: "公共のための科学技術 リスクの政治学"玉川大学出版部. 109-138 (2002)
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[Publications] 小林 傳司: "公共のための科学技術 社会的意思決定への市民参加"玉川大学出版部. 158-183 (2002)
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[Publications] 平川 秀幸: "公共のための科学技術 専門家と非専門家の協働"玉川大学出版部. 184-203 (2002)
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[Publications] 藤垣 裕子: "公共のための科学技術 現場科学の可能性"玉川大学出版部. 204-221 (2002)
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[Publications] 山脇 直司: "21世紀公共哲学の地平 グローカル公共哲学の構想"東大出版会. 434 (2002)
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[Publications] 小林 傳司: "21世紀公共哲学の地平 科学技術の公共性の回復に向けて"東大出版会. 271-298 (2002)