2004 Fiscal Year Annual Research Report
スポーツのグローバリゼーションとローカリゼーション
Project/Area Number |
14580021
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
上野 卓郎 一橋大学, 大学院・社会学研究科, 教授 (30120801)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
早川 武彦 一橋大学, 大学院・商学研究科, 教授 (90114959)
藤田 和也 一橋大学, 大学院・社会学研究科, 教授 (80017673)
高津 勝 一橋大学, 大学院・社会学研究科, 教授 (30034838)
内海 和雄 一橋大学, 大学院・社会学研究科, 教授 (00092619)
尾崎 正峰 一橋大学, 大学院・社会学研究科, 教授 (20272768)
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Keywords | グローバリゼーション / ローカリゼーション / メディア・スポーツ・生産複合体 / 国際スポーツ機構 / トランスナショナルな体験 / スポーツの商品化と公共性 / 生活世界の変容 |
Research Abstract |
年度当初に提出した「研究実施計画」に基づき、各研究分担者間の交流を図りながら実証研究と理論研究を進めた。主要な活動実績を示せば、第1に、国内外における調査活動・研究交流を推進した。本年度中に国内調査を1回、海外調査を2回行い、資料・情報の収集と研究交流に努めた(フランス、アイルランド。うち前者は科研費補助による)。第2に、調査活動で得た資料・情報の整理に従事し、これまでに蓄積したデータベースを補充した。第3に、昨年度に引き続き、研究分担者による情報・問題意識・理論交流を定期化し、また研究分担者以外の専門家を招いて情報の入手と意見交換を行った。第4に、以上の成果の一部を集約し、『一橋大学スポーツ研究』(2004年10月刊行)に掲載した。 以上の研究活動を通して、次のことが明らかになった。第1に、情報化社会の成熟と共に多国籍化した「メディア・スポーツ・生産複合体」(media-sport production complex)が「国際スポーツ機構」と提携し、スポーツのメディアイベント化・メディアソフト化を進め、トランスナショナルな体験の機会を地球的な規模で提供し、「グローバルドリーム」を生み出すようになった。第2に、その影響力は国民国家やインターナショナルな枠組みを超え、個人や社会集団に直接・間接に波及するようになった。第3に、そうした「スポーツのグローバリゼーション」とローカルなスポーツ文化の関係は、一方向ではなく、双方向的である。第4に、但しヘゲモニーは「生産複合体」と「国際スポーツ機構」の側にあり、スポーツの商品化と公共性の矛盾は複合化・潜在化し、ローカルな文化主体の衰弱という事態も起こっている。第5に、そこには葛藤や主体的な営みも存在する。従って、「スポーツのグローバリゼーションとローカリゼーション」研究は、文化の伝播や変容としてだけでなく、生活世界の変容・再構成を視野に入れる必要があるということである。
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Research Products
(9 results)