2003 Fiscal Year Annual Research Report
抗酸化能力が動脈コンプライアンスに及ぼす影響-加齢および運動習慣との関係から-
Project/Area Number |
14580028
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
伊藤 宏 名古屋工業大学, 工学研究科, 助教授 (10203168)
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Keywords | 動脈コンプライアンス / 脈波伝播速度 / 運動 / トレッドミル走 / 75%HRmax |
Research Abstract |
最近、動脈コンプライアンスの指標として脈波伝播速度(PWV : pulse wave velocity)が有用とされ、PWVが遅いほど動脈のコンプライアンスが高いと考えられている。Tanaka et al.(1998)は、中高年の女性を対象にPWVを測定し、PWVと収縮期血圧、BMI、さらに血中の総コレステロールやLDLコレステロールとも有意な正の相関を確かめている。また同時に、PWVと最大酸素摂取量とは有意な負の相関が認められ運動習慣がPWVの低下、すなわち動脈コンプライアンスの加齢による低下を抑制することを示した。しかし、これまでに実際に一過性の運動がPWVに影響を及ぼすか否かについての基礎的データは見あたらない。そこで、今回は一過性の運動がPWVに及ぼす影響とその再現性について確かめた。 被験者は健康な男性(41歳)とし、5回にわたり75%HRmax、30分間のトレッドミル走を実施し、運動前後の上腕-右足間(R)-PWV、上腕-左足間(L)-PWV、心臓-右上腕間(B)-PWVについて検討した。その結果、安静時のR-PWV、L-PWV、B-PWVはそれぞれ11.6±0.4、11.5±0.3、6.3±0.3m/s(mean±SD)、運動後3分は11.6±0.7、11.7±0.8、4.3±0.4m/s、10分は11.2±0.5、11.1±0.7、5.2±0.4m/s、そして20分では11.1±0.4、11.2±0.5、5.3±0.5m/sであった。 これらの結果、R-PWV、L-PWVは運動による影響が少ないが、B-PWVは運動後に有意に低下し、運動によってPWVが低下する可能性が示唆された。またそれぞれの測定値の再現性は非常に高く測定値は妥当であると評価された。
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