2004 Fiscal Year Annual Research Report
脊髄損傷者の暑熱環境下における運動時発汗反応特性に関する研究
Project/Area Number |
14580038
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Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
山崎 昌廣 広島大学, 総合科学部, 教授 (40128327)
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Keywords | 脊髄損傷 / 運動時体温調節 / 暑熱環境 / 全身発汗 / 鼓膜温 |
Research Abstract |
一般に、体温が上昇すると生理機能が過剰に亢進することにより、運動パフォーマンスの低下を引き起こす。したがって、暑熱環境下のスポーツの現場において、体温上昇レベルを抑えることはパフォーマンスを向上させる上で重要な要因になっている。体温上昇を抑える主要な生理機能は発汗反応である。しかしながら脊髄損傷者(脊損者)の発汗特性の研究はほとんど行われていない。そこで本研究では脊損者に暑熱環境下で運動を行わせ、体温調節にとって重要である全身発汗量について、脊損レベルとの関係を明らかにすることを研究目的とした。被験者は脊損者成年男子11名であり、そのうち上位レベル損傷者5名(Th5および6)および下位レベル損傷者6名(Th11〜L2)であった。被験者はまず実験前の体水分状態を標準化するために体重の0.5%のミネラルウォータを摂取し、全裸体重を測定した。その後室温約33℃(相対湿度約80%)に設定された人工気象室に移動し、30分間の椅座位安静を保った。その後20ワットの負荷で腕回転運動を行った。運動開始から30分目に運動を10分間中断し、汗を拭き取った後に全裸体重を測定した。10分問の休息後、さらに30分間の運動を行わせ、終了時に全裸体重を測定した。実験実施中、鼓膜温は5分毎に、前額部、胸部、上腕部、大腿部および下腿部の皮膚温および心拍数はそれぞれ1分毎に測定した。全身発汗量は体重減少量から算出した。全発汗量は運動30分後および運動終了時とも、上位脊損者群が低い値を示した。しかし、統計的有意差は認められなかった。大腿部および下腿部皮膚温は上位損傷者群が有意に低い値を示したが、前額部、胸部および上腕部の皮膚温には有意差は認められなかった。また、鼓膜温は両群に有意差は認められなかった。これらの結果は、暑熱環境下の運動時体温調節において上位脊損者群と下位脊損者群には顕著な差はないことを示している。
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Research Products
(1 results)