2004 Fiscal Year Annual Research Report
尿中有形成分法を用いたマラソンランナーの肉体疲労度評価法
Project/Area Number |
14580044
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
倉掛 重精 大分大学, 医学部, 教授 (00033407)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中路 重之 弘前大学, 医学部, 教授 (10192220)
熊江 隆 国立健康・栄養研究所, 健康増進研究部, 室長 (40145363)
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Keywords | マラソン / 筋逸脱酵素 / 尿中ミオグロビン / 肉体疲労度 / 血液濃縮 / 発汗量 |
Research Abstract |
本研究は、フルマラソンによる肉体疲労度(筋逸脱酵素で反映)を尿中の有形成分で推測することを目的とした。 平成14年度の調査では、多量の発汗による脱水の影響したのか、血液生化学成分と尿中成分との間に有意の相関関係はみられなかった。そこで15年度は尿中ミオグロビン(筋肉の崩壊により出現)を測定項目に新たに加え、筋逸脱酵素群との関連について検討した。その結果、尿中ミオグロビンとGOT(r=0.347)、CK(r=0.684)、LDH(r=0.511)のレース前後の変化率の間で正の相関が認められた。以上から尿中ミオグロビンが、筋逸脱酵素群の上昇度、すなわち疲労度の推定の指標になりえる可能性が示唆された。 平成17年(平成16年度)の別府大分毎日マラソン大会は2月6日に開催され、本大会では平成15年度の結果の再現性を、平成15年度とは異なった気象条件(平均気温平成15年度7.6℃、平成16年度10.0℃)の下で検討した。平成14年、15年と同様に、レース後、著明な血清筋逸脱酵素値と尿中ミオグロビン値の上昇が観察された。その結果、完走者30名で検討したところ、尿中ミオグロビン値と血清筋逸脱酵素値のレース中の変化率の間で再び高い正の相関関係(CKとはr=0.770、GOTとはr=0.718、LDHとはr=0.440)が認められた。以上の結果から、本研究の最終的結論として、尿中ミオグロビンは疲労評価の指標になりうると考えられた。尿中ミオグロビン測定は簡便で、安価であり、さらに対象者に苦痛を与えないことより、将来的にマラソン選手のコンディショニング、パフォーマンス維持の指標として実際のスポーツ分野で応用できるものと期待される。
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