Research Abstract |
本研究の目的は,体操競技の採点における分業制,および,非分業制の採点方法の違いが,演技観察の様相,さらには,演技の評価に与える影響を検討することにより,演技の観察様相と演技の評価における価値と質との相互関連を明らかにし,演技評価の内容的妥当性検討のため,さらには,審判技術指導上の基礎資料を得ることである. 平成14年度は,主に文献調査と被検者に提示する映像資料の作成を行った.文献調査については,F.I.G.(国際体操連盟)のBulletinをはじめ,内外の関連する文献の収集,整理,および,考証を行った.映像資料の作成については,平成14年度に開催された国内の競技力を代表すると考えられる三つの競技会(全日本学生選手権,全日本選手権,NHK杯)において,跳馬を除く5種目の演技をビデオカメラを用いて撮影した.これらより,それぞれの競技会,種目において最頻値を示す得点水準に属し,大欠点のみられない演技を,各種目それぞれ3演技ずつ計15演技抽出し,各種目1演技ずつ三つの演技ブロックに無作為に分類し,演技ブロックの提示順序は固定,演技ブロック内での演技の提示順序は無作為とするものとして合計12種類の分析用ビデオテープを作成した.また,日本体操協会公認男子1種審判員36名を抽出し,被験者としての協力依頼を行い承諾を得た. 今後,研究計画に従い,演技の価値点(難度,特別要求,加点の採点要素の採点結果に演技実施の配点(5.0)を加えた点数)の採点を行なう(A審判法),演技実施の採点を行う(B審判法),価値点と演技実施のいずれも採点を行い評価点を算出する(A・B審判法)の3種類の採点方法を用いて,演技の観察様相と評価に関するデータを収集し,これらの相互関連について検討を行うつもりである.
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