2002 Fiscal Year Annual Research Report
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14580049
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
野坂 和則 横浜市立大学, 総合理学研究科, 助教授 (00175522)
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Keywords | 遅発性筋肉痛 / 伸張性筋活動 / 筋損傷 / 筋力 / 関節可動域 / 血漿CK活性値 / MRI / 上腕屈筋群 |
Research Abstract |
運動後,数時間から数日間経過してから生じる筋肉痛を遅発性筋肉痛という。遅発性筋肉痛は,筋が張力を発揮している状態で引き伸ばされる筋活動様式(伸張性筋活動)を伴う運動によって引き起こされ,筋あるいは結合組織の損傷とその後の炎症反応が原因であると考えられている。本研究の目的は,遅発性筋肉痛を実験的に引き起こすモデルを用いて,遅発性筋肉痛発現のメカニズムとその意義について解明することであり,2年間にわたる研究において,平成14年度は,下記の実験を行った。 1)遅発性筋肉痛の程度と筋損傷との関係:上腕屈筋群の伸張性筋活動モデルを用い,大学生(n=110)を被験者として,上腕屈筋群に筋損傷・遅発性筋肉痛を引き起こし,筋肉痛の程度と筋機能の変化や超音波画像やMRI画像の変化,血液中の生化学成分の変化の大きさから推定される筋損傷の程度との関係について検討し,筋肉痛の程度は筋損傷の程度を反映しないことを明らかにした。この成果は,Scandinavian Journal of Medicine and Science in Sportsに,"Delayed-onset muscle soreness does not reflect the magnitude of eccentric exercise-induced muscle damege"というタイトルの原著論文として発表された。2)遅発性筋肉痛が生じることの意義:筋肉痛は,筋力の増加や筋肥大にとって必要だとする考え方(No Pain, No Gain)が存在する。この真偽について,著者らの実験データや文献的研究を元に検討した。その結果,筋の適応過程において筋肉痛は必ずしも必要ないことを明らかにした。この成果は,ハンガリーのブタペストにおいて開催された国際学会で発表され,それをまとめたものを,International Science of Sport and Health Scienceに,"Muscle damage in resistance training"というタイトルでの総説とした。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Kazunori Nosaka, Mike Newton, Paul Sacco: "Delayed-onset muscle soreness does not reflect the magnitude of eccentric exercise-induced muscle damage"Scandinavian Journal of Medicine & Science in Sports. 12. 337-346 (2002)
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[Publications] Kazunori Nosaka, Andrew Lavender, Mike Newton, Paul Sacco: "Muscle damage in Resistance Training -Is muscle damage necessary for strength gain and muscle hyper trophy?"International Journal of Sport and Health Science. 1. 1-8 (2003)
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[Publications] 野坂和則(分担): "筋の科学事典,第10章 筋とコンディショニング「筋肉痛のメカニズム」"福永哲夫編,朝倉書店. 505 (2002)