2003 Fiscal Year Annual Research Report
運動による動脈硬化予防の機序としての脂肪細胞由来サイトカインの関与について
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14580059
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
高波 嘉一 東京医科大学, 医学部, 講師 (40206777)
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Keywords | 運動 / アディポネクチン / 体脂肪分布 |
Research Abstract |
今年度は運動トレーニングが血清アディポネクチン濃度に及ぼす影響と体組成,特に体脂肪分布変化との関係について、運動習慣を持たない中高年者26名(男性19名、女性7名:51.7±6.6歳)を対象とし、検討した。運動群(13名)は運動プログラムとして50%VO2maxに相当する強度の有酸素運動を1回に30〜60分,週3回以上行うように指導し,これを3ヶ月間継続させた.またコントロール群(13名)は,普段の身体活動量を3ヶ月間特に変えないように指示した.3ヶ月間のプログラム前後に安静早朝空腹時採血及び最大酸摂取量(VO2max),体重,内臓脂肪面積,皮下脂肪面積(CT法)の測定を行った.血清アディポネクチン濃度はELISAにより測定した.運動群ではVO2maxの増加(pre:33.4±4.8ml/kg/min,post:35.1±4.2ml/kg/mm;p<0.01),体重の減少(pre:67.6±11.2kg,post:65.2±10.5kg;p<0.001)が認められた.また運動群では内臓脂肪面積(pre:106.2±36.8cm^2,post:88.3±39.8cm^2;p<0.01),皮下脂肪面積(pre:136.1±41.5cm^2,post:112.8±34.9cm^2;p<0.01)が減少,および血清アディポネクチン濃度が上昇(pre:5.2±2.2μg/ml,post:5.8±2.7μg/ml;p<0.02)を示したが,コントロール群ではいずれのパラメーターにも有意な変化は認められなかった.さらに運動群における血清アディポネクチン濃度の上昇はVO2maxの増加と正の相関(r=0.669;p<0.02),体重減少と負の相関(r=0.653;p<0.02),内臓脂肪面積+皮下脂肪面積の減少と負の相関(r=0.627;p<0.05)を示した.以上より、有酸素運動を継続することにより体脂肪の減少と血清アディポネクチン濃度の上昇が認められ,体脂肪蓄積部位の特異性とは特に関係なく,脂肪組織の量的,質的変化によりアディポネクチン分泌の増加が認められたものと考えられた.
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