2002 Fiscal Year Annual Research Report
熱ショック蛋白質(HSP70)の転写調節と生体防御作用から運動適応を検討する
Project/Area Number |
14580062
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
三上 俊夫 日本医科大学, 医学部, 助教授 (60199966)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 成男 日本医科大学, 老人病研究所, 教授 (00125832)
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Keywords | 熱ショックタンパク質70 / ストレス抵抗性 / 筋損傷 / 伸長性筋収縮 / β-グルクロニダーゼ活性 / クレアチンキナーゼ活性 |
Research Abstract |
[目的]本年度は、運動時の骨格筋の損傷に対する熱ショックタンパク質70(heat shock protein 70;HSP70)の防御的作用を個体レベルで検討した。そのため骨格筋のHSP70を変化させたマウスを作成し、これらに対して筋損傷を引き起こしやすい伸長性筋収縮を多用する下り坂走を負荷し、その後の筋損傷の程度を観察した。 [方法]実験1ではマウスに42℃、30分間の熱ストレスを負荷し、24時間後にヒラメ筋と長指伸筋を採取してHSP70を定量した。実験2ではマウスを運動群と熱負荷+運動群の2群に分けて、熱負荷+運動群には運動負荷の24時間前に実験1と同様の熱ストレスを負荷した。その後、各群マウスに60分間の下り坂走を負荷した。運動12、24,48時間後にヒラメ筋、長指伸筋と血漿を採取し、骨格筋損傷の指標である骨格筋β-glucuronidase活性と血漿creatine kinase(CK)活性を測定した。 [結果・考察]熱負荷により直腸温は有意に上昇し、ヒラメ筋と長指伸筋のHSP70量は有意な増加を示した。下り坂走後12時間での血漿CK活性は熱負荷+運動群が運動群に比し有意な低値を示した。運動群でみられた運動48時間後のヒラメ筋のβ-glucuronidase活性の上昇が熱負荷+運動群ではみられなかった。また、長指伸筋のβ-glucuronidase活性は48時間後に両群ともに有意な上昇を示したが、熱負荷+運動群の上昇は運動群に比べ有意な低値を示した。これらの結果より、運動前の熱負荷は運動後の筋損傷を抑制することが明らかとなった。この原因としては熱負荷により骨格筋のHSP70が増加したことが関係したと考えられた。
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