2002 Fiscal Year Annual Research Report
自動車排気ガスによる大気汚染環境下での運動が生体に及ぼす影響に関する研究
Project/Area Number |
14580063
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
星 秋夫 日本歯科大学, 歯学部, 講師 (20139265)
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Keywords | 自動車排気ガス / 免疫 / 酸化障害 |
Research Abstract |
道路沿道での運動は,短時間の運動であっても大量の大気汚染物質を吸収することから,組織の酸化障害や免疫機能低下を招き,その結果,呼吸器疾患を誘発させる可能性が考えられる。大気汚染環境下での一過性の運動が体組織での酸化障害や免疫機能に及ぼす影響と,呼吸器の自覚症状に及ぼす影響ついて検討するため,自動車排ガスによる大気汚染が激しい地域(皇居ジョギングコース一周)の走行運動を実施した。 健康な成人男性10名を被験者とした。走行時間は平均39分30秒であった。運動中の心拍数は170拍/分前後で推移していた。 ストレス度の指標としての血中エピネフリン,ノルエピネフリン濃度は運動前に比べて運動後で有意に上昇した。酸化障害の指標として,過酸化脂質,ビタミンE濃度は運動前後で明らかな差異を認めなかった。免疫機能の指標として,NK活性,白血球象は運動前に比べて運動後で有意に上昇した。しかし,免疫グロブリン濃度は運動前後で明らかな差異を認めなかった。呼吸器機能等に関する自覚症状については,走行後に走行者全員が,のどが痛いなどの自覚症状を訴えた。 以上の結果から,自動車排ガスによる大気汚染地域での運動は免疫機能に及ぼす可能性がかんがえられた。 次年度には,自動車排ガスによる大気汚染が少ない地域で同様な走行実験を実施して,本年度の結果との比較検討を行い,大気汚染下での一過性の運動の生体におよぼす影響を明らかにする予定である。
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