2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14580068
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Research Institution | Tsurumi University |
Principal Investigator |
平川 澄子 鶴見大学, 文学部, 教授 (40199047)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
仲澤 眞 筑波大学, 体育科学系, 助教授 (10188930)
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Keywords | 女性スポーツ / ジェンダー |
Research Abstract |
今年度は、まずメディア等で醸成される身体や運動・スポーツに関わる言説が身体のジェンダー化に及ぼした影響について考察を進めた。1964年の東京オリンピック開催や高度経済成長期後の環境問題、生活習慣病への危機意識等が、健康への関心を高め、スポーツの大衆化を促進した。1980年代に入るとスポーツの産業化が進み、フィットネスクラブが急増した。また一方で、スポーツはメディアを介してエンターテイメントとしての価値を高め、スポーツシーンやスポーツ選手の身体が日常の中に可視化された。こうした要因が相まって、元来は心身共に良好な状態を意味した「フィットネス」は、体力作りを通り越し、より積極的に身体を理想の形に作り変えていこうとする、改造可能な身体観をもたらした。1980年以降のBMIの推移をみると若い女性のスリム化傾向は著しく、筋肉に象徴される逞しい男性の身体に対して、無駄な脂肪の少ないしなやかな女性の身体という、身体のジェンダー化が進む結果をもたらしたことなどがわかった。 また一方で、女性スポーツリーグを支えてきた、我が国特有の企業スポーツの変遷について考察を行った。1960年代から70年代にかけて企業アイデンティティの醸成やモラールの高揚という機能を担った企業スポーツは、1980年代以降、スポーツの国際化とプロ化等によりチームスポーツ所有のメリットが減少し、衰退の一途を辿っている。特に女子バレーボールの実業団チーム数は1974年をピークに3分の1以下にまで減少した。しかし、クラブチーム数の減少はそれほど大きなものではなく、また女性のスポーツ参加人口は増加傾向にある。今後、企業には従来型の競技スポーツに偏ったスポーツ支援ではなく、自治体との連携などによってトップチームから市民レベルのクラブ育成に至るまでの幅広いスポーツ支援が地域貢献・社会的貢献事業として求められることが示唆された。
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Research Products
(1 results)