2003 Fiscal Year Annual Research Report
伝統的産業の集積地域における持続的生産システムに関する研究
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14580078
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
初澤 敏生 福島大学, 教育学部, 助教授 (10211476)
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Keywords | 伝統産業 / 地場産業 / 持続的生産システム / 生産構造 / 和ろうそく製造業 |
Research Abstract |
本年度は昨年度に引き続き、陶磁器業、漆器業、和ろうそく製造業などの伝統産業に関する資料収集と実地調査を行った。以下においては、調査がほぼ完了した和ろうそく製造業について報告する。 和ろうそく製造業は我が国の伝統的な産業の一つで、各地に産地を形成していた。しかし、家庭の電化と安価な洋ろうそくの生産拡大によって急速に縮小し、現在では産地を単位とした生産構造は事実上崩壊している。各地の業者は新たな体制で生産を進めているが、後継者難等によりその数は急速に減少しつつある。本研究では和ろうそく製造業の存立基盤の検討から和ろうそく製造業の現状と課題を明らかにした。 調査の結果、市場特性が生産構造に与える影響が最も大きいことが明らかになった。市場は大きく地元市場型と広域市場型に区分される。 地元市場型は宗教需要型(福井産地ほか)と観光需要依存型(会津産地ほか)に区分されるが、これらはいずれも他の製品との競合から価格帯があらかじめ設定されており、生産コストの削減が重要な課題となっている。このため、原料・製造技術等が必ずしも伝統的なものでないものも多く、生産量も限定されている。 これに対し広域市場型は生産システムを転換して生産量の増大を図ったり、和ろうそくを新たなインテリア用品として新しい市場を開拓するなどの方法で新製品開発に取り組んでいる企業が多く、その生産量も増大している。今後は従来の産地の枠にこだわらず、日本全体を一つの産地と見なして生産形態を再編成していく必要があると考える。
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