2005 Fiscal Year Annual Research Report
伝統的産業の集積地域における持続的生産システムに関する研究
Project/Area Number |
14580078
|
Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
初澤 敏生 福島大学, 人間発達文化学類, 助教授 (10211476)
|
Keywords | 伝統産業 / 地場産業 / 産地 / 産業集積 / 持続的生産システム / 技術伝承 / 革新 / 公設試験場 |
Research Abstract |
本年度は、山口県萩市の萩焼、三重県四日市市の四日市万古焼、山形県新庄市の亀綾織、福島県安達町の上川崎和紙に関して実地調査を行った。萩焼では昨年度に調査した宮島焼とともに、産地のさまざまな条件の変化が、「伝統」の継承に与える影響について検討した。萩焼は長い歴史を持つ地場産業であるが、長い歴史を持つ窯元は一部であり、戦後に開窯した窯元が大多数を占める。この影響もあり、「萩焼」の特徴は、大まかな共通イメージはあっても、生産者の間で具体的にとらえられているわけではない。今回の調査では特徴の異なる窯元に対してヒヤリングを行い、窯元の特性と生産構造・製品特性・技術伝承(習得)などの結びつきなどについて検討を加えた。また、四日市万古焼の調査では、三重県の科学技術振興センター(旧工業試験場)が地場産業振興に果たした役割を中心に調査を行い、製品開発などの面で地域企業に対して実施している事業などを具体的に把握して、公設試験場が地場産業振興に大きな役割を果たしていることをとらえた。亀綾織は、一旦途絶した地場産業を行政が中心になって復活させた珍しい事例である。亀綾織は新庄市が「モデル定住圏事業」の一環として復活させた。これに当たっては山形県工業技術センターが技術の復元と伝承に関する支援を行う一方で、新庄市が経営を含む運営面での支援を行った。行政が地場産業の伝承に対して重要な支援を行う好個の事例の一つである。また、上川崎和紙も、亀綾織と同様、行政が地場産業の存続に大きな役割を果たしている。上川崎和紙に関しては安達町が観光的要素を持つ和紙伝承館を建設するとともに(実際の運営は第三セクターが行うが、資金面などで安達町の果たす役割が非常に大きい)、後継者を雇用して技術伝承にあたらせている。行政が積極的に技術伝承に関与している例である。なお、この他に地場産業産地の集積と革新などに関する理論研究も行った。
|
Research Products
(2 results)