2004 Fiscal Year Annual Research Report
都市型社会における農林業地域の展開方式に関する作物地理学的研究
Project/Area Number |
14580079
|
Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
元木 靖 埼玉大学, 教養学部, 教授 (00092023)
|
Keywords | 日本の栗 / 品種 / 低樹高栽培 / 景観 / 公園 |
Research Abstract |
(1)日本の栗生産地域では今日、農林業地域一般が直面している後継者難・従事者の高齢化と海外(韓国・中国等)からの安価な剥き栗の輸入攻勢などの影響によって、生産農家、栽培面積、生産量ともに急速な減少傾向にある。本年度の現地調査の結果、こうした中にあって従来の栗園管理とは大きく異なった低樹高栽培の動きが浸透しはじめていることが明らかになった。この動きは各地域において新しい栽培景観として確認される。栗の低樹高栽培は高齢者や婦女子でも園の管理を容易にする役割をもつだけではなく、高(良質)品種の栗生産をうながすための要因となっている。 (2)以上の傾向は、必ずしも栗の生産が直ちに拡大する傾向を示唆するものではない。しかし、実需者である菓子メーカーが、日本の栗の味、季節の味を消費者にアピールすることで存在意義を確保しようとする動きに通じている。実需(消費)者が生産地域を支援する動きについては昨年明らかにしたが、本年度の調査を通じて両者の接点に日本的な産物・食品に対する高い評価が存在することが明らかとなった。これは都市型社会化しつつある日本において、新しい地域システムの形成に向けた芽生えを示すものとみられる。 (3)北海道の森町にみられる栗の大樹を利用した市民公園の成立と実態についての調査結果、農林業地域の今後の役割を考えていく上で、参考になる点が多いことが確認された。
|
Research Products
(2 results)