2002 Fiscal Year Annual Research Report
江戸・明治期における地誌の図像化による創造的地域論
Project/Area Number |
14580084
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
溝口 常俊 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (50144100)
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Keywords | 近代地誌 / 地籍帳 / 図像化 / 地域論 |
Research Abstract |
近世、近代の地誌、統計書をデータベース化し、それをGIS.(地理情報システム)を用いて地図を作成し、創造的地域論の構築に努めた。2年計画の初年度は、尾張殉行記(文政5年)、愛知県の地籍帳(明治17年)、岐阜県各郡町村略史(明治14年)、隠岐の増補隠州記(貞享5年)の整理、屋久島の検地名寄帳(享保11年)、分析をおこなった。その結果、都市を中心に人口・土地・産業等の様々な項目値が漸移的に変化していくといったこと(尾張)、濃尾の大水由地帯で畑作(島畑)の地価が水田のそれよりも高く評価されていたこと(美濃)、各村落が農業、漁業、林業の三位一体の生業からなりたっていたこと(隠岐)、および、妻のいない家族構成の存在、従属農民の独立過程、焼畑の広範な分布とその人ロ支持力の意義(屋久島)などの新たな知見が得られた。これらの成果については歴史地理学会(於、和歌山市民会館、6月)、およびSccial Science History Association:社会科学歴史学会(於、米国・セントルイス、10月)「東アジアの都市システヘ研究会」(国際日本文化研究所、12月)、歴史的空間情報の解析・解釈法の研究」研究会(国際日本文化研究所、2月)において発表し、その一部は拙書『近世・近代の畑作地域史研究』(名古屋大学出版会)および「明治17年の地籍図・地籍帳からみた尾張の景観と開発」(愛知県史研究6)に上梓した。 さらなる資料調査のため、山梨(7月)、種子島・屋久島(8月)、函館(9月)、富山(12月)、津山(2月)に赴き、近世地誌、郷土史、日記帳、人別帳などの貴重な資料を入手することができた。
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Research Products
(2 results)