2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14580085
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
石原 潤 京都大学, 文学研究科, 教授 (70080265)
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Keywords | 小城鎮 / 地域差 / 市街地 / 江蘇省 / 蘇南地方 / 都市戸籍 / 郷鎮企業 / 環境悪化 |
Research Abstract |
本年度は、小城鎮の発展が最も顕著な蘇南地方(江蘇省南部)を主たる研究対象とした。中国全土、特に江蘇省に関する各種研究書、地方誌類、国勢調査を含む各種統計、並びに各種地図を購入し、また購入不可能な資料については、国内諸研究機関の所蔵資料を利用した。これらの諸資料の分析を通して、(1)鎮域及び鎮区(市街地部分)人口の推移、(2)市街地の拡大過程、(3)新規市街地の構成、(4)市街地拡大の要因、(5)その政策的背景に関して、基本的な知見を得た。なお、資料の整理・分析のため、研究補助者を雇用した。 その上に立って、平成15年3月に7泊8日間の現地調査を、蘇州市郊外に位置する無錫市后宅鎮において実施し、(1)小城鎮発展の実際を詳細に把握すると共に、(2)そのための諸施策を検討し、(3)新たに生じている諸問題をも明らかにした。現地調査には、上海市の同済大学都市計画学系副教授(都市地理学専攻)の王徳氏の協力を得た。 以上の文献及び現地調査により、明らかになった点を要約すると、以下のとおりである。(1)蘇南地方は小城鎮発展の最先進地域であり、鎮域及び鎮区共に人口増加が顕著である。(2)市街地の拡大は既存の鎮区を核としつつも、幹線道路に沿って進む傾向があり、また開発区等の建設により飛び地状に進むこともある。(3)新たな市街地の構成は、旧来の市街地(老街)の他、新たな商店街、各種行政機関、集体及び私営企業の工場、それらに勤務する従業員宿舎などから構成されている。(4)「離土不離郷」政策は基本的に維持されているが、鎮の都市戸籍を取ることは容易となっており、都市戸籍取得のメリットもあまり意識されていない。(5)郷鎮企業は集体営から私営への転換が進められており、企業と鎮政府・村民委員会との関係は間接化する傾向にある。(6)道路・通信施設などインフラの整備は進んでいるが、ゴミや汚水による環境悪化が顕著に進んでいる。
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Research Products
(1 results)