2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14580095
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Research Institution | Kinjo Gakuin University |
Principal Investigator |
伊藤 達也 金城学院大学, 現代文化学部, 教授 (60223161)
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Keywords | 異常渇水 / 異常渇水対策 / 名古屋市 / 木曽川 / 大阪市 / 京都市 / 神戸市 / 琵琶湖・淀川水系 |
Research Abstract |
今年度は研究に必要な資料収集、概要把握につとめたため、新たに得られた知見は必ずしも多くないが、以下のような知見を得るに至った。研究対象とする都市は政令指定都市に東京特別23区を加えた14市であるが、そのうち、名古屋市、京都市、大阪市を中心に、より具体的な聞き取り、資料調査を行った。 1.名古屋市では既に通常時の水資源開発は終了し、現在、異常渇水対策へと移行しつつある。その中の対策手段として長良川河口堰、徳山ダム事業等への水源確保策が進められているが、既存水源において十分な水が確保されているため、市の計画においても、両事業を対策として具体化することができていない。既存水源である木曽川を利用した対策の有効性が高いことが予想される。 2.京都市、大阪市、神戸市はいずれも琵琶湖・淀川水系を水源としている。琵琶湖・淀川水系では今後、水資源開発を目的とした新規ダム開発を行わないことが国土交通省の政策として決定された。名古屋市同様、通常時の水資源開発、さらには異常渇水対策も終了したことを予見させる。個々の自治体において必ずしも明確な形で異常渇水対策が制度化されているわけではないが、これまでの開発によって異常渇水対策を含めて水資源の確保が終了し、今後は既存の水源を有効利用したシステム構築へ向かうことが予想される。 3.現在も人口増加の続く東京都市圏内の政令指定都市(東京特別区を除く)等においては、通常時の水資源開発と異常渇水対策の制度分離と関連性の明確化が今後、求められていくであろう。最も水資源確保、特に異常渇水対策に苦慮する福岡市では、海水淡水化事業が進められているが、筑後川等、近隣水源との関連も含め、2003年度以降、より具体的な分析が必要である。
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