2004 Fiscal Year Annual Research Report
富士山における亜高山帯上部移行帯の群落構造の動態と環境変動に関する研究
Project/Area Number |
14580104
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
岡 秀一 東京都立大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (50106605)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅野 洋光 独立行政法人農業技術研究機構, 東北農業研究センター, 研究室長 (30355276)
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Keywords | 富士山 / 植生変遷 / 樹木限界 / 階段状微地形 / 群落動態 / 生長量 / 年輪 / 凍結融解 |
Research Abstract |
本研究の目的は富士山の亜高山帯上部、樹木限界から森林限界にいたる移行帯における植物群落の動態とそれに及ぼす気候・地形的諸営力を解明することにある。今年度は北西斜面における樹木限界以下の移行帯について次のような群落調査、環境調査を行なった。測線上に植生タイプの異なる4つのプロットを設定し(2630m、2570m、2460m、2350m)、10m×10mの枠をのなかで毎木調査を行い樹高・胸高直径などを計測した。さらに50本ほどの個体を選択してアルミ製のデンドロバンドを幹に巻きつけ、高度や樹齢による生長量の差を検証した。また、すでにその存在が知られている階段状微地形について簡易測量機器により測量意を実施してその平面形を明らかにした。移行帯(2900m、2800m、2700m)における気温・地温および日射の観測を継続的に実施した。結果を以下に示す。標高に伴う樹高あるいは樹形の変化は明瞭であり、火山荒原・匍匐型カラマツ低木林・テーブル型カラマツ低木林・連続的高木林に識別された。これらの樹高に象徴されるカラマツ生長量は樹齢とは対応せず、むしろ高度などの環境要因によって規定されていると考えられた。特に低木林について注目すると、若年層と壮年層で樹高が低いという傾向が導かれた。デンドロバンドについてはまだ安定性が悪く、計測の段階には至らなかった。階段状微地形は南東-北西の軸を持つ長楕円形の平面からなっており、その方向性や配列から成因は風食、流水による可能性が示唆された。気温・地温の観測はコードの切断などのトラブルが目立ったが、例年の結果と調和的であり、凍結融解期間は長くなかった。今後、さらに植物の定着プロセスと環境条件との関わりについてさらに具体的な検討の必要性が示された。
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Research Products
(2 results)