2004 Fiscal Year Annual Research Report
日本と西洋における服飾情報伝達の相互媒介に関する史的比較研究
Project/Area Number |
14580111
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
徳井 淑子 お茶の水女子大学, 生活科学部, 教授 (80172146)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小山 直子 お茶の水女子大学, ジェンダー研究センター, 客員研究員
伊藤 亜紀 国際基督教大学, 教養学部, 助教授 (70323863)
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Keywords | 流行情報 / 服飾 / 文化表象 / 感性 / 色彩 / 文様 / 近代日本 / 西洋中世 |
Research Abstract |
本研究は、服飾の流行現象における情報伝達のメカニズムを解明することによって、東西の服飾文化の特徴を比較検討することを目的としている。最終年の本年度は、代表者・分担者が日本近世・近代および西洋中世・近代を中心に分析するとともに、研究協力者による日本中世等の事例を加えて時代・地域の情報伝達の意味を比較し、文化形成のあり方を総括した。 ヨーロッパについて、代表者・徳井は、フランスにおける文様と色の志向に関し、中世末期の婚姻・祝祭による宮廷間の人的交流を基本とした伝達から、16世紀の書物による伝達へと移行する経緯を解き、また19世紀パリにおける懐古趣味のファッションが、文芸からモード雑誌、服飾図集にいたる多様なメディアと、舞台衣裳や仮装服などとの複雑な相互媒介によって成立していることを明らかにした。また分担者・伊藤は、16世紀以降の図像学事典における色彩シンボリズムが、中世末期以降のイタリアとフランスにおける色彩論の著作に拠っていることを分析した。 一方、日本について、分担者・小山は、近代において天平風俗をもって描かれた図像が、東亜趣味の文化表象として成立しながら、政治表象として呑み込まれていく可能性をもったことを指摘し、可視化された情報が集団的感性を育んだ経緯を分析した。 以上の分析によって流行情報伝達のメディアの特徴と意味について日本と西洋、中世と近代など相互の比較を行った結果、西洋においては、色彩・文様いずれにおいても情報の伝達はきわめて汎ヨーロッパ的な規模で行われ、服飾流行がヨーロッパ文明形成に大きな貢献をしたことが明らかになった。一方、日本においては、中世・近代のいずれにおいても服飾情報の伝達が文化的意味とともに政治的意味を強く担っていることが明らかになった。
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Research Products
(3 results)