2002 Fiscal Year Annual Research Report
性別役割分業意識の再生産メカニズムに関する韓国と日本の国際比較研究-教育の場における隠れたカリキュラム:教師の意識調査に基づいて
Project/Area Number |
14580122
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
李 きょん媛 宮崎大学, 教育文化学部, 助教授 (90263425)
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Keywords | ジェンダー / 性別役割分業 / 国際比較 |
Research Abstract |
本研究の目的は,性別役割分業意識の再生産メカニズムに関する韓国と日本との国際比較研究である。本研究で注目する視点は,若者の教育を担っている教師の意識と役割である。まず,学校の教育では,「男女共同参画社会基本法」やジェンダー・フリー教育の立場に基づいて,性別による役割を振り分ける教育のあり方を見直すことを目標とした教育が行われている。したがって,少なくとも公教育のカリキュラムにおいては,ジェンダー・フリーに基づく教育が実践されているはずである。しかし,実際に教育に携わっている教師がジェンダーに基づく教育を行っているとするならば,本当の意味でのジェンダー・フリー教育の成果は現れにくい。 以上のことを踏まえて,まず,平成14年度には,韓国と日本において,性別役割分業意識と学校教育におけるジェンダー再生産の関連性を分析した既存研究のレビューを行った。分析の結果,韓国も日本も,主に,教科書にみえる隠れたカリキュラムの現状や,生徒の意識調査に基づく隠れたカリキュラムの現状を分析した研究が多く,教師の性別役割分業意識,ジェンダーと学校教育におけるジェンダー再生産との関連性を分析した研究がほとんど見当たらないことが明らかになった。韓国では,2003年1月に現行の第7回教育課程で使用されている教科書分析の結果が発表された。当研究では,現在使用中の第7回教育課程の教科書内容が,男女平等の観点から大きくずれていることが指摘されている。以上のレビューを踏まえ,次年度は,教師の意識構造とジェンダー再生産の関連性について分析を行う。
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