Research Abstract |
今年度は,冬季に室温・色彩・環境音の複合環境評価実験を行い,その分析を進めるとともに,3年間の研究をまとめる作業を行った。 実験は,室温5段階(21.0,22.5,24.0,25.5,27.0℃),色彩条件2段階(青,橙),音条件6種類とした。被験者は,男子学生52名であった。1回につき4名以下の被験者が実験に参加した。前室に15分間滞在し,温度への順応と着替えを行った。その後刺激提示室に入室し,40分後に案騒音の評定を行い,続けて6種類の呈示音に対して,それぞれ評定を行った。評定は,室空間全体の印象を問う19組の形容詞対の7段階尺度,温冷感・温熱的快適感(7段階尺度)について行った。その結果,以下のことが明らかになった。今回の実験条件では,室温・色彩・環境音のうち,環境音が室内印象評価に与える影響が最も顕著であった。色彩は温冷感に関する非特異的尺度に有意に影響を及ぼし,hue-heat仮説に合致した結果が得られた。「騒がしい」側に評価される環境音は,室温条件によっては,青の色彩呈示によって「騒がしさ」が強調される傾向が見られた。「好ましさ」などの評定項目においては,橙よりも青の色彩条件の方が,環境音の影響がより大きかった。 今後,上記の実験に加え,昨年度までに行った「植物・色彩・温熱環境の複合影響に関する実験」、「窓・カーテンの開閉状況・騒音・温熱環境の複合影響に関する実験」,「住宅温熱環境の実測調査」のデータ分析を進展させて,最終報告書の作成を行う予定である。
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