2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14580127
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
増子 富美 日本女子大学, 家政学部, 教授 (10060708)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
美谷 千鶴 日本女子大学, 家政学部, 助手 (40247094)
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Keywords | 繊維 / 防炎加工布 / 限界酸素指数(LOI)値 / 発煙量 / リン酸アンモニウム / ポリ乳酸繊維 |
Research Abstract |
目的 昨年度に引き続き、種々の繊維製品の燃焼性と煙濃度との関係を検討した。今年度は特に、無機リン化合物を用いて処理した防炎加工布の燃焼性と発煙量について検討した。 方法 試料として一時性防炎加工剤であるリン酸ナトリウム、リン酸アンモニウムを用いて防炎加工した綿100%織物およびポリ乳酸繊維など未処理の各種繊維を用いた。限界酸素指数(LOI)値及びLOI値雰囲気中における発煙量は酸素指数・煙濃度同時測定装置を用いて測定した。また、JIS L 1091法に準じ45度燃焼試験機を用し、着火時間、残炎時間(及び残じん時間)を測定した。 結果 リン酸ナトリウムあるいはリン酸アンモニウムを用いて防炎加工を施した綿布においてLOI値及びLOI値の酸素濃度雰囲気中における発煙量を求めた。リン酸ナトリウム処理綿のLOI値は約22を示し、未処理綿のLOI値(18)よりもわずかに高いが、リン酸アンモニウム処理綿のLOI値は26以上と、難燃性を示した。発煙量は、リン酸ナトリウムの場合は未処理綿の1/20〜1/2と著しく減少したが、リン酸アンモニウムの場合は、4〜8倍に増加した。JIS L 1091法による燃焼性試験では、リン酸ナトリウム処理綿は、リンの含有量とともに着火しにくく、残炎時間は少ない傾向を示し、これは発煙量の結果に対応した。リン酸アンモニウム処理綿では加熱により着火することなく、試料は炭化するのみであった。しかし、発煙量は4〜8倍と多い。リンと窒素との相乗作用により難燃性は向上するが、同時に発煙量も増加するという結果であった。窒素が発煙量や煙濃度にどのように関係するのかは今後の検討課題である。未加工の繊維の燃焼性についても検討した。ポリエステル100%繊維では着火しなければ発煙量は少ないという傾向が認められ、難燃性と発煙量は一致する傾向が認められた。生分解性繊維であるポリ乳酸繊維はLOI値29と難燃性を示し、発煙量はポリエステル100%織物(JIS L 0802染色堅ろう度用添付白布)の1/2と、著しく少ない結果を示した。
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