2003 Fiscal Year Annual Research Report
市販総菜中の内分泌撹化学物質濃度の測定と電子レンジ加熱による濃度変化
Project/Area Number |
14580137
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
冨永 典子 お茶の水女子大学, 生活環境研究センター, 教授 (30164031)
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Keywords | ビスフェノールA / ノニルフェノール / フタル酸エステル類 / 市販総菜 / プラスチック容器 / 移行 / 内分泌撹乱化学物質 |
Research Abstract |
内分泌撹乱化学物質(ビスフェノールAや4-ノニルフェノール、フタル酸エステル類)の大部分は食物から摂取していると言われているが、日常食品中の濃度については現在までのところ測定例が少ない。そこで本研究は、近年ますます購買層が拡大しており容器ごと温めることの多いプラスチック容器入りの総菜に着目し、温めることによってどの程度これらの物質が溶出してくるかを明らかにすることを目的とした。 1)フタル酸エステル類は6種類の化合物について測定したが、実際の試料中からは常にフタル酸ジブチル(DBP)とフタル酸ジエチルヘキシル(DEHP)のみ検出され、現在の我が国での使用量を反映していた。含有量は電子レンジの加熱の有無によってほとんど変わらないか、加熱後の値の方が低い場合が多かった。これはフタル酸化合物の揮発性が高いためと考えられた。密閉度を上げて米飯をラップで包み電子レンジ加熱すると、いったん揮発した物質がまた蒸気の凝縮とともに戻る傾向が見られた。 2)白飯とピラフなど食用油脂を使用した他の総菜中のビスフェノールA量を比較すると、明らかに食用油脂を使用して調理したものの方が高濃度であった。したがって、この物質が油脂および脂肪性食品に移行することを予測させた。電子レンジ加熱すると含有量が増加する傾向が見られたが、加熱による変動よりも加熱前総菜別の含有量の差の方が大きいことから、低温?常温条件下でも容器から食品へビスフェノールの移行が起こるものと思われた。重水素置換体(サロゲート)を用いて回収率を求めたところ平均81.1%であった。 3)4-ノニルフェノールは、ビスフェノールの場合と同様の調製方法(アセトニトリル抽出後、アセトニトリル/n-ヘキサン分配で脂肪を除去し、フロリジルカラムで精製)では夾雑物質が取りきれず、検出可能な程度のピークが確認できなかった。抽出効率を上げ精製度を高めるために、別法による試験溶液の調製を試みたがはかばかしい成果は得られなかった。
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