2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14580138
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
藤原 葉子 お茶の水女子大学, 生活科学部, 助教授 (50293105)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
澤田 留美 国立医薬品食品衛生研究所, 療品部, 研究員 (30345409)
脊山 洋右 お茶の水女子大学, 生活科学部, 教授 (90010082)
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Keywords | オレイン酸 / n-6 / n-3比 / 動脈硬化 / 血中コレステロール / 必須脂肪酸 |
Research Abstract |
油脂としての扱いやすさ(酸化されにくさ)とリノール酸過剰摂取に対する危倶から、油脂業界では品種改良や遺伝子組換えによるオレイン酸リッチ油への変換が急速に進んでいる。リノール酸の供給源であったサフラワー油やひまわり油は現在では80%程度がオレイン酸で、リノール酸はほとんど含まれていない。この傾向はリノレン酸の供給源である大豆油やなたね油にも及んでおり、これから数年先には、消費者の意識や選択の余地なく相対的なオレイン酸の多量摂取と、必須脂肪酸であるリノール酸とリノレン酸の摂取の減少が進む可能性がある。現在の日本人の脂肪酸の摂取バランスは世界的に見ても理想的であると考えられるため、本研究は現状の摂取脂肪酸バランスが崩れることによる栄養学的な影響を検討することを目的とした。昨年度は、動物実験によるオレイン酸リッチ油の栄養学的な評価を行った。ハイオレイックひまわり油はオレイン酸を約80%とこれまでの植物油脂と比較して多量に含み、リノール酸は7.7%、リノレン酸は0.1%しか含んでいない。オレイン酸を多量に含むオレイン酸リッチ型の油脂を摂取しても、リノール酸によるコレステロール低下作用や、プロスタグランジン合成に関わるアラキドン酸合成量には大きな変化はないものと考えられた。今年度はリポ蛋白プロファイルがラットよりもヒトに近いモルモットにハイオレイックタイプ油を投与して同様な実験を行った。.オレイン酸が多くてもHDLコレステロールの増加はほとんど見られなかったが、抹消組織からコレステロールを引き抜き肝臓へ逆転送する働きを持つ、LCAT活性の増加傾向が認められた。しかしラットと同様に大きな変化は認められなかった。次にヒトを対象に一日10gのハイオレイックひまわり油を2週間摂取させ、一般の摂取前と比較した。血中脂質はほとんど差が認められなかったが、LDL中の脂肪酸組成はハイオレイックタイプ摂取ではオレイン酸が多く含まれており、血漿から調製したLDLの抗酸化能を共役ジエン形成までのラグタイムで比較したところ、ハイオレイックひまわり摂取では有意に抗酸化能が高かった。摂取をやめて2週間後に再度測定したところ、抗酸化能は元のレベルに戻った。オレイン酸を多く含む油の摂取によるHDLコレステロールの増加作用は、日本人では欧米ほどはっきりと見られなかったが、血中LDLの抗酸化能が上がることで、長期に摂取すると抗動脈硬化作用を持つ可能性がある。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Umeda-Sawada R, Fujiwara Y, Abe H, Seyama Y.: "Effect of sesamin and capsaicin on the mRNA expressions of D6 and D5 desaturases in rat primary cultured hepatocytes"J.Nutr Sci Vitaminol. 49・6. 442-446 (2003)
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[Publications] Fujiwara Y, Yokoyama M, Sawada R, Seyama Y et al.: "Analysis of comprehensive effects of polyunsaturated fatty acid on the mRNA expression using a gene chip"J.Nutr Sci Vitaminol. 49・2. 125-132 (2003)
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[Publications] Fujiwara Y, Yokoyama M et al.: "Influence of polyunsaturated fatty acid on gene expression in HepG2 cells"J Atheroscler.Thromb.. 9. 157-162 (2002)
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[Publications] Kobayashi R, Murakami T, Obayashi M, Nakai, N, Jaskiewicz J, Fujiwara Y, Shimomura Y, Harris R: "Clofibric acid stimulates branced-chain amino acid catabolism by three mechanisms"Arch.Biochem.Biophys.. 407. 231-240 (2002)
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[Publications] Kuroyanagi M, Shimomura E, Kim M, Arakawa N, Fujiwara Y.: "Effect of L-ascorbic acid on the oxidative reaction of lysine in the formation of collagen cross-links"Biosci.Biotechnol.Biochem.. 66・10. 2077-2082 (2002)