2002 Fiscal Year Annual Research Report
タンパク質性食品の調理中に起こる物性と組織の変化に関する研究
Project/Area Number |
14580146
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Research Institution | Otsuma Women's University |
Principal Investigator |
下村 道子 大妻女子大学, 家政学部, 教授 (70074937)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下坂 智恵 大妻女子大学, 短期大学部・家政学部, 助教授 (60124921)
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Keywords | 魚骨 / 牛肉 / 調味料 / 破断強度 / 顕微鏡観察 / コラーゲン |
Research Abstract |
本年度は、機器を購入し、運転を開始して、魚の骨を脱灰しないで観察する方法を検討した。 1.魚骨の切片作成と観察 マアジから骨だけを取り出した。(1)生骨、(2)酢酸溶液に4時間浸漬、(3)水中で5時間加熱、(4)酢酸溶液中で2時間加熱、の4方法で骨を処理した。骨は生では硬さが硬いが、それと比較して酢漬け、長時間加熱の骨は、はるかに軟化していることは前の報告と一致した。その骨を固定して凍結し、クリオスタットで凍結切片を作成した。これをバンギーソン法で染色し、顕微鏡観察を行った。生の骨では、骨全体が赤く染色され、結合組織が多く存在することが確認された。4時間食酢に浸漬した骨では結合組織は存在したが、染色性が低下していた。5時問水中加熱骨では、コラーゲン特有の染色はされず、コラーゲンがかなり減少している可能性があることが考えられた。 2.牛肉の加熱時に砂糖を用いることの効果 牛肉を加熱するときに、砂糖を加えると軟らかいということがいわれており、これを確かめることとその原因を調べようとした。牛もも肉を用いて実験を行った。加熱時間では、0.5cm厚さの肉で5分加熱が最も軟らかく、煮汁に調味料の醤油と砂糖を加えて加熱しても硬さに差は見られなかった。しかし、砂糖を加えたものは、重量が増加し、水分が減少したがその硬さはほとんど変化がなかった。すなわち、砂糖を加えると水分が減少しても硬くならないといえる。砂糖が浸透して水分に置き換わったと見られる。砂糖溶液加熱では結合組織の収縮が顕微鏡下で観察された。調理的加熱におけるたんばく質の変性とそれに及ぼす砂糖による影響は、さらに今後検討する必要がある。
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