2003 Fiscal Year Annual Research Report
東南アジアの伝統発酵麺に関する微生物とその役割について
Project/Area Number |
14580147
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Research Institution | Otsuma Women's University |
Principal Investigator |
大森 正司 大妻女子大学, 家政学部, 教授 (80074920)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿久澤 さゆり 東京農業大学, 応用生物科学部, 助教授 (60256641)
加藤 みゆき 香川大学, 教育学部, 教授 (70112654)
長野 宏子 岐阜大学, 教育学部, 教授 (40074984)
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Keywords | 伝統的発酵米麺 / 乳酸菌 / 有機酸 / 米 |
Research Abstract |
東南アジアにおける発酵米麺について、ラオス・ミャンマー・タイの調査を行った。 タイに、カノンチーンという発酵麺が存在しており、製造方法は、米を浸漬して磨砕しその後布袋で水切りを行っていた。その"しとぎ塊"をゆでた後混捏し、ろ過した後に押し出し機で沸騰湯浴中に押し出し、麺とする。この押し出した麺を水の中で冷却し、ざるにあげて麺(カノンチーン)となる。北タイの製造方法の特徴としては、原料の米から"しとぎ塊"まで一連の工場で製造されている場合が多く、"しとぎ塊"の状態で地方の工場に送られる場合が多い。また、この製造工程中の生菌数では、浸漬中で好気性菌や大腸菌が多く存在していたが、水きり後の"しとぎ塊"では、乳酸菌が多く存在していた。また、風味成分は、製造工程中の粗蛋白や脂質の減少が認められた。"しとぎ塊"では、有機酸中の乳酸の増加が著しく、他の発酵米麺と同様の傾向を示した。 ミャンマーのモヒンガーの製造工程中には、Bacillus属、Lactobacillus属、Streptococcus属、yeast、moldが普遍的に存在していた。発酵米麺の一般成分は原料米と比較して、水分、タンパク質、脂肪、灰分、すべてにおいて低い値であった。また有機酸は、原料米でみられたクエン酸、フマル酸が減少し、新たに乳酸が生成された。発酵米麺の遊離アミノ酸は、原料米に比較して増加していた。また、発酵米麺からタンパクを抽出し、電気泳動でタンパク質泳動パターンを観察したところ、原料米のときに見られた20kDa以上のタンパク質が消失していた。さらに14.3kDa付近のバンドが薄くなり、6.5kDa以下の低分子のバンドが増加していた。このことから発酵による米蛋白質の低分子化が明らかとなった。浸漬米から分離した微生物の性質について検討した結果、浸漬米から分離した微生物はBacillus subtilisであった。また、この微生物の至適pHは5.75で至適温度は40℃であった。タイプカルチャーBacillus subtilis JCM1465に比較すると至適pH、至適温度、熱耐性ともに高い傾向にあった。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 池田昌代, 加藤みゆき, 長野宏子, 阿久澤さゆり, 大森正司: "ミャンマーにおける発酵米麺(モヒンガー)の成分と微生物の特徴"日本家政学会誌. 54・4. 263-269 (2003)
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[Publications] 加藤みゆき, 長野宏子, 阿久澤さゆり, 大森正司: "伝統的な発酵米麺の特徴と微生物の関与"財団法人飯島記念食品科学振興財団 平成13年度年報. 295-299 (2002)
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[Publications] Hiroko NAGANO, Miyuki KAT0H, Sayuri AKUZAWA, Masayo IKEDA, Masashi OMORI: "TRADITI0NAL FERMENTED FOODS ARE USEFUL FOR HUMAN HEALTH"The 12th Biennial International Congress of Asian Regional Association for Home Economics Program & Abstract. 216 (2003)
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[Publications] Hiroko NAGANO, shiro KASUYA, Zenya SHOJI, Asako TAMURA, Masashi OMORI, Sadaaki IIBUCHI, Motoo ARAI: "Identification of Microorganisms in Traditional Asian Foods Made with Fermented Wheat Flour and Their Hypoallergenization"Food Sci.Technol.Res.. 9・1. 7-10 (2003)