2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14580150
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Research Institution | Doshisha Women's College of Liberal Arts |
Principal Investigator |
西村 公雄 同志社女子大学, 生活科学部, 教授 (60167567)
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Keywords | ビタミンC / かまぼこ / 品質改良 / アクトミオシン / チィールラジカル / 活性酸素 / 電子スピン共鳴法 / N-Ethylmaleimide |
Research Abstract |
【目的】ビタミンCによる食品品質改良機構は,タンパク質間のSS架橋が増加することによるとされている。申請者らは,この機構にビタミンCより発生する活性酸素がタンパク質上にチィールラジカル(s・)を生じさせることでSS架橋形成に関与している可能性を提唱している。そこで,今回,この可能性を検討するためにタンパク質としてアクトミシンを選び,どの活性酸素種によりアクトミオシン上にS・が生じるのかを電子スピン共鳴(ESR)法を用いて調べた。 【方法および結果】スケトウダラ冷凍すり身から調製したアクトミオシンにNaCl(0.45M)とスピントラップ剤(5,5-Dimethyl-1-pyrroline-N-oxide (DMPO))(83.3mM)を添加した。リボフラビン(Rf)(0.17μM)を加えて光照射し,スーパーオキサイドアニオンラジカル(O^-_2)を発生させたところ,4本線のシグナルをESRにて検出した。このシグナルは,スーパーオキサイドディスムターゼ(SOD)(8.9units/ml)の存在下では強度が有意に減少し,シグナル強度が増加することはなかった。SODの代わりに加熱変性させた同濃度のSODを存在させるとシグナル強度は減少しなかった。これらのことは,二次的に発生するヒドロキシラジカル(OH・)ではなくO^-_2によりタンパク質ラジカルが生じていることを示している。最後に,N-Ethylmaleimide(40mM)を用いてSH基を修飾したアクトミオシンにO^-_2を作用させると,このシグナル強度が顕著に減少した。この結果は,認められたタンパク質ラジカルがS・に由来するものであることを示唆している。以上のことより,ビタミンCから発生する活性酸素種のうちOH・ではなくO^-_2がアクトミオシン上にS・を発生させているものと考えられた。
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