2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14580160
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Research Institution | Otsuma Women's University Junior College Division |
Principal Investigator |
高橋 ユリア 大妻女子大学短期大学部, 家政学部, 助教授 (80236330)
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Keywords | 摂取障害者 / 拒食症 / 過食症 / 情報 / 食物 / ストレス / 家族 / 母親 |
Research Abstract |
目的 摂食障害者の毛髪中含有微量元素の変動、特異的な食概念・食行動、健常者の食概念との比較、家族環境との関係などを今までに研究してきた。これらの研究結果から、摂食障害者の情報伝達法として「食」というものが確立している事がわかった。そこで、摂食障害者のストレス情報伝達の構造という観点から、「食」を分析する事を目的とした(日本家政学会第54回大会発表.2002.6.2.昭和女子大学)。 方法 摂食障害者26名に食概念とストレスの情報伝達方法について、アンケートおよび聞き取り調査を行った。また、過食症女子短大生の手記95件(1992年7月〜11月)、拒食症の娘を子供に持つ母親の手記15件(1995年〜1999年)から、食によるストレス情報伝達の表記を抽出し分析を行った。さらに両者に聞き取り調査を行った。 結果 摂食障害者は自分自身の心理的ストレスの情報伝達の最善の方法として摂食、調理、料理というものを重要視している傾向にあった。これらの伝達経路は非常にコントロール化され、さらに儀式化した構造を持っていた。また、家族や他人とのコミュニケーション、価値基準、思考判断、要望等を「食」を通して行う傾向が強かった。特異的食行動と家族との間には極度のストレスが発生し、食を通しての情報伝達の信号を相手が認識できない事により、ストレスの悪循環を形成していた。摂食障害者が発信する、食による情報伝達の正確な読み取りがいかに出来るか、このような環境がどれだけ整えられるかという事が、摂食障害者の精神的、肉体的な支持につながるのではないかと考えられた。母子間の基本的信頼関係の修復にも、母親が子供から食を通して送られてくるストレス情報の的確な認識、判断がいかに迅速に出来るかという事が大きく影響していた。
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Research Products
(1 results)