2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14580161
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Research Institution | Nihon University Junior College |
Principal Investigator |
太田 尚子 日本大学短期大学部, 食物栄養学科, 助教授 (00203795)
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Keywords | 魚肉水溶性タンパク質 / 脂肪酸塩 / 卵白アルビミン / タンパク質二次構造 / FT-IR |
Research Abstract |
H15年度は,前年度に検討した魚肉水溶性タンパク質の最適ゲル化条件とそのレオロジー測定の成果に立脚し,12%魚肉水溶性タンパク質の2.5%カプリン酸ナトリウム添加(付加食塩0.2,pH7.8)による高次構造変化並びに卵白アルブミン添加の高次構造への影響についてFT-IR解析の手法を用いて調べた.その結果,魚肉水溶性タンパク質単独にカプリン酸ナトリウムを添加した場合,混合時1692,1680,1648,1638,および1626cm^<-1>にピークを有し,タンパク質二次構造の一般的な帰属に合致することが判った.非加熱では時間経過による顕著なスペクトル変化は観察されなかったが,加熱処理を施すことにより1618cm^<-1>のピークが増加することが判った.一方,卵白アルブミン共存下(8%魚肉水溶性タンパク質+4%卵白アルブミン)では,非加熱条件下でも時間経過に伴い次第に構造変化が生じていることが判った.魚肉水溶性タンパク質単独の場合と卵白アルブミン混合の場合を、共に加熱処理したスペクトル間で比較すると,卵白アルブミンを共存させた場合により1680および1618cm^<-1>(共に分子間β-シート)の顕在化が進んでいることが判った.これら一連のFT-IR解析に基づき,魚肉水溶性タンパク質単独または魚肉水溶性タンパク質に卵白アルブミンを共存させた系では、そのゲル形成時にはα-ヘリックス(1640cm^<-1>)が分子間β-シートに変換されるとともに,新たに分子間β-シートにより構築されると考えられているアグリゲーションバンド(1618cm^<-1>)の出現が起こることが示唆された.また,卵白アルブミン共存下においてよりその変化が顕著に認められることが判った.
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