2003 Fiscal Year Annual Research Report
口腔咀嚼時の食品からの香気成分の動的拡散量と人が感じる香気強度
Project/Area Number |
14580164
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Research Institution | Nippon Veterinary and Life Science University |
Principal Investigator |
小竹 佐知子 日本獣医畜産大学, 応用生命科学部, 助教授 (60233540)
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Keywords | 咀嚼 / 咀嚼モデル |
Research Abstract |
本年度は、実際のパネルの咀嚼行動と咀嚼モデル器の模擬咀嚼動作との相関程度を求めた。24名のパネリスト(男:女=1:1)に対し、ロースハム(4×1×1cm、無処理)、佐賀牛モモ肉A等級およびB等級(10×5×0.2cm、1分間茄加熱処理)、安曇野豚モモ肉(10×5×0.2cm、1分間茄加熱処理)を試料として供試した。嚥下するまでの咀嚼回数・秒数はそれぞれ、35.8回・26.4秒、40.1回・25.6秒、45.6回・31.0秒、48.9回・33.6秒であった。また、同時に測定した分泌唾液量はそれぞれ、2.89g、2.31g、2.76g、3.57gであった。成分測定(水分、たんぱく質、脂質)の結果、脂質含量の高いものほど、咀嚼回数と咀嚼秒数が少なく、また分泌唾液量も少ないことが認められた。このことから、脂肪成分は食品の組織を軟らかくし、そのため咀嚼に要する時間や回数が少なくて嚥下にいたると考えられた。咀嚼秒数と咀嚼回数の間にはいずれの試料においても高い相関が認められたが、咀嚼秒数、咀嚼回数と分泌唾液量との間には相関は認められず、唾液の分泌は各パネリストの特性に強く依存した。すなわち、食品試料が変わっても、分泌唾液量の多いパネリストは常に多く分泌する傾向が認められた。各食品試料におけるパネリストの咀嚼特性が明らかになったので、咀嚼モデル器による模擬咀嚼を行なった。パネリストの歯や舌に相当するモデル器のプランジャー動作の電圧は、各試料それぞれに対して、22.0V、21.0V、23.4V、23.2Vであった。模擬咀嚼後の試料は、実際のパネリストの咀嚼試料に比べて、咀嚼度が弱く、試料からの旨味成分、香気成分の放散量の少ないことが示唆された。
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