2003 Fiscal Year Annual Research Report
物理的特性からみたイカ肉の鮮度を保つ殺し方と保存温度
Project/Area Number |
14580171
|
Research Institution | Kwassui Women's College |
Principal Investigator |
久木野 睦子 活水女子大学, 健康生活学部・食生活健康学科, 教授 (70152246)
|
Keywords | イカ外套膜 / 鮮度 / 透明度 / ATP関連物質 |
Research Abstract |
平成15年度は、イカ外套膜の透明度の変化を鮮度の指標として用い、イカの殺し方および輸送方法と温度がイカ筋肉組織の死後変化に及ぼす影響を明らかにするとともに、昨年度測定した筋肉中のATP関連物質の消長およびイカ肉の物理的特性の変化とどのような関係にあるのか検討した。 殺し方および輸送方法の違いは次の4つのパターンを検討した。(1)生きたイカを神経切断により即殺して保存実験に供する(即殺群)、(2)活魚輸送車の水槽にて生きたまま2時間かけて輸送し、研究室にて神経切断して即殺後に保存実験に供する(活魚輸送群)、(3)生きたイカを5℃の冷蔵ボックスに入れて2時間輸送したものを保存実験に供する(冷蔵輸送群)(4)生きたイカを氷海水中に入れて2時間輸送したものを保存実験に供する(冷海水輸送群)、とした。殺し方と輸送方法の異なる4つの試料イカの外套膜を取り出して5℃の冷蔵庫にて保存し、6、12,24時間後に外套膜の透明度およびATP量を測定した。透明度の測定は、黒十字を描いたシャーカステン上に外套膜を置き、外套膜を透かして見えた黒十字を高解像度デジタルカメラ(617万画素)にて撮影して黒濃度を画像解析ソフトで分析した。 ATP測定の結果、即殺群と活魚輸送群は冷蔵保存6時間後においても約50%のATPが残存していたのに対し冷海水輸送群では保存開始時に、冷蔵輸送群では保存6時間後に殆どのATPが消失していた。また、外套膜筋肉の透明度は即殺群と活魚輸送群で高く、その高い値は6時間後まで維持され、12時間後ではかなり低下したものの若干の透明度は残存していた。冷海水輸送群では保存開始時にすでに透明度を失っていた。イカ肉の透明度は筋肉中に残存するATP量とほぼ符合した変化を示しており、ATPが枯渇してから透明度が急激に低下するようにも思われた。これまでの結果から、全般的に鮮度の保持は、即殺群、活魚輸送群で良好であり、神経切断による即殺はむしろ活魚輸送されたものよりも透明度の維持や鮮度保持に優れた方法であるかもしれない。また、冷海水輸送は透明度の維持、鮮度保持の上で他の方法に劣るようである。
|