2003 Fiscal Year Annual Research Report
理科における子どもの学びを臨床的に探るオーセンティックアセスメントの実証的研究
Project/Area Number |
14580181
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
片平 克弘 埼玉大学, 教育学部, 助教授 (70214327)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 誠 埼玉大学, 教育学部, 教授 (30292634)
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Keywords | オーセンティックアセスメント / 学習者理解研究 / 理科教育 / 評価研究 / 臨床的研究 |
Research Abstract |
本研究は,オーセンティックアセスメント(authentic assessment)を我が国の実情を踏まえながら,より実践的かつ臨床的に研究することを目的としている。 近年の評価は結果重視から過程重視の評価へと移行している。学びの過程を評価するためには,これまでの評価の手法を単に応用するだけでは,十分に対応できない現実がある。そこで,1990年代以降に欧米諸国で行われ始めたオーセンティックアセスメントはこの問題の解決のための一つの手がかりがあると考えた。 本年度は,理論面を中心に,オーセンティックアセスメントの中核となるオーセンテックタスクについて研究を積み重ねた。オーセンティックアセスメントの可能性を探っているWigginsやNewmannを代表とするアメリカの研究者は,典型的なテストとは異なった,より現実に即した課題をオーセンティックタスクと位置づけている。オーセンティックタスクは現実世界の文脈を模写した課題であり,それらの解決活動を通して子どもの学びを評価しようとしている。課題のオーセンティシティーを判断するための観点をまとめると次の7点に集約できた。1)情報を統合できる,2)別の考えも検討する,3)中心となる専門領域の知識,4)中心となる専門領域のプロセス,5)理解を深めるための文章による情報伝達,6)教室を超えた世界に課題を結びつけている,7)学校外の人々を関与させている。以上の7点は大別すると,「知識の構成」「専門的探究」「学校を超えた価値」に分けられ,これらを含む課題がオーセンティックタスクと判断できることが確認できた。 理科におけるオーセンティックタスクを実践し,子どものワークシートへの記述や映像分析,プロトコル分析等から,課題を解く際に高次思考が誘発されているか,さらには,どのような思考活動が展開されているかの吟味は,次年度へ発展的に継続する課題である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 片平克弘: "指導と評価の一体化を再考する"初等理科教育. 37・9. 24-27 (2003)
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[Publications] 手塚基子, 片平克弘: "メタ認知能力の視点から探るイオン概念獲得に関する研究"理科教育学研究. 44・1. 29-37 (2003)
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[Publications] 片平克弘: "構成主義にみられる科学リテラシーに関する一考察"埼玉大学紀要教育学部(教育科学). 52・2. 27-34 (2003)
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[Publications] 杉本美穂子, 片平克弘: "授業実践におけるオーセンティック・アセスメントの可能性を探る"日本理科教育学会全国大会発表論文集(第1号). 1. 234 (2003)
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[Publications] 吉田伸吾, 片平克弘 他3名: "学習の見通しをもたせるための理科指導の改善(その1)"日本理科教育学会全国大会発表論文集(第1号). 1. 317 (2003)
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[Publications] 鈴木宏昭, 片平克弘 他3名: "学習の見通しをもたせるための理科指導の改善(その2)"日本理科教育学会全国大会発表論文集(第1号). 1. 318 (2003)