2002 Fiscal Year Annual Research Report
重度脳障害児におけるポジショニング評価尺度の作成と教育活動への適用
Project/Area Number |
14580268
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
北島 善夫 千葉大学, 教育学部, 助教授 (70260479)
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Keywords | 重症心身障害 / ポジショニング / 心拍反応(HR) / モニタリング |
Research Abstract |
重度脳障害児・者(重障児)のなかでも大島の分類1に該当する最も重篤な障害を有する者には,姿勢・運動面に厳しい制限をもつ者が少なくない.教育活動を実際に展開する上で,最初に問題となるのは教育活動時の課題と適切なポジショニングである.現状では,担任教師の経験に依存した対応がなされているが,誰もが利用可能な客観的な評価尺度が必要である.本研究では,麻痺のタイプと程度が異なる重障児を対象に,複数の姿勢において異なる期待反応課題を呈示し,同一個人内での期待心拍反応の条件間比較を行い,それに基づき評価尺度の試案を作成した(検討1).さらに,その評価尺度の教育実践への適用について,事例的に検討を行った(検討2). (検討1)姿勢は,仰臥位,側臥位,車椅子座位の3種であった.期待反応課題は,通常利用されるS1(呼名)とS2(働きかけ)の対呈示(S1+S2課題)とイナイイナイバー遊び(face課題)の2種であった.多くの対象児で,S1+S2課題では車椅子座位が,face課題では介助者が支える側臥位でより大きな期待心拍減速が記録され,課題により適切な姿勢は異なった.心拍モニタと表情の2側面よりポジショニングを評価できる可能性を得,試案を作成した. (検討2)訪問教育対象児2事例において,実際の個別指導の教育活動場面で心拍反応と表情をモニタしながら指導実践を試み,尺度の適用可能性と改善方向について考察した.平均心拍値と一過性反応(加速,減速,無反応)と表情から,適切と判断されたポジショニングに関する指示を与え,指導を展開した.持続性心拍変動に関する情報(RSA,変動係数)のオンライン処理による即時フィードバックが可能となれば,より高精度の尺度の作成が可能と考えられた.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 雲井 未歓: "重症心身障害児における人の働きかけに対する定位反応と期待反応の発達に関する研究"発達障害研究. 24. 377-391 (2003)
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[Publications] 黒田吉孝, 小松秀茂: "[改訂版]発達障害児の病理と心理"培風館. 186 (2003)