2002 Fiscal Year Annual Research Report
教育実習生の国語科実践的知識の力量形成に関するナラティブ・アプローチ的研究
Project/Area Number |
14580289
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
松崎 正治 鳥取大学, 教育地域科学部, 助教授 (20219421)
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Keywords | 教師の力量形成 / 実践的知識 / 工学的システム / ナラティブ・アプローチ / ライフヒストリー / リフレクション / 教育実習 / 国語科 |
Research Abstract |
大学の教員養成課程在学の学生は、教育実習を通してどのように力量形成を図っていくのか。とりわけ、国語科の実践的知識をいかに獲得していくのか。これを明らかにすることが、本研究の目的である。 これまでの教師教育における実践的力量形成研究の多くは、教師が工学的システムの収得をいかに能率よく達成し、理論的知識を実践化していくかということを探究してきたのである。しかし、授業というものは、学校や授業が置かれている社会文化的文脈や、授業過程で起こる出来事の背後にある教師や子どもの歴史的内面的背景や認知の仕組みに大きく関係している。そのために、教師は、「理論的知識」を学ん。でそれをそのまま実践化しているのではなく、日々の授業実践や様々な日常経験の中で形成されてきた個性的かつ状況依存的な知識(「実践的知識」)を駆使して新たな実践を生み出している。 そこで教育実習生を取り巻く様々な出来事を物語(narrative)として構成し解釈していく「ナラティブ・アプローチ」という研究方法を採用して、教育実習生へのインタビューや、教育実習生自身による記録をもとに蓄積していき、西暦などによる「クロノジカルな時間」、1年生の頃、教育実習に行く直前といった時期区分に基づく「ライフサイクル的な時間」、教育界の動向など「社会史的出来事」にそくした。「歴史的な時間」といった指標に基づく整理。・解釈を行う。これは、「ライフヒストリー」的観点に基づく解釈である。1年目となる平成14年度は、まず、本研究の基礎となる先行研究を把握した。次に、本研究の分析枠組となる鍵概念を精緻化する作業を行った。教師教育、実践的知識、教育実習、ナラティブ・アプローチ、ライフヒストリーなどの概念である。次に、研究対象となる教育実習生の国語科授業を中心に記録し、その授業についてのリフレクションを記述した。また、教育実習に行く前後で、アンケートを実施しておいた。これらを併せてナラティブに再構成し、ライフヒストリー的に解釈するデータを蓄積した。
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