2002 Fiscal Year Annual Research Report
歴史学習における「固有名」の理解と指導法の開発研究
Project/Area Number |
14580294
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
吉川 幸男 山口大学, 教育学部, 助教授 (40220610)
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Keywords | 固有名 / 歴史学習 / 歴史理解 |
Research Abstract |
本研究は平成14年度においては、以下のような作業を行った。 1.歴史叙述における「固有名」使用の事例分析による、本研究のフレームワークの設定 (1)以前の研究で収集しテキスト化した歴史授業や著名な歴史授業実践における、人名や地名等「固有名」の使用文脈を抽出し、その歴史理解形成上の機能を探ることを試みた。 (2)一般の歴史書や事典類において示される「固有名」用語の解説方法を参照し、歴史理解形成上における「固有名」の位置付けを探ることを試みた。 (3)歴史学習において一般に使用される歴史教科書における歴史言語表現から、固有名、普通名、歴史用語を抽出し、学校種別(小学校、中学校、高等学校)におけるそれぞれの傾向を定量的に分析した。この分析は本年度以前においても部分的に行ってきたが、本年度改めて本格的・全体的に行うことになった。 以上(1)〜(3)を通して、歴史学習における「固有名」指導の開発のためのフレームワークを仮説的に構想することができた。それによれば、開発のキーポイントになる点は、一般に「固有名の恣意性」にもとづいて指導されがちな歴史学習に対し、いかに「固有名の意味論」を組み入れてゆくか、という点であることが明らかになった。 2.県内の小学校、中学校における若干数の歴史授業収録と、そのテキスト化とデータ化 各学校の校内研究会、地域の公開研究会、教育実習生の授業などを中心に、若干数の授業の映像及び音声記録を収録した。テキストデータ化にとりかかっているのはまだ一部であるが、引き続き継続中である。 次年度はこのデータに対し、上記1のフレームワークから、歴史授業における「固有名」使用の文脈を構築し直すことによって、新たな指導法を開発する予定である。
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Research Products
(1 results)