2004 Fiscal Year Annual Research Report
小児失語症の言語・認知評価法の開発と言語指導・教育に関する研究
Project/Area Number |
14580308
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
進藤 美津子 上智大学, 外国語学部, 教授 (40082177)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荻野 美佐子 上智大学, 文学部, 教授 (70185528)
玉井 ふみ 広島県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 教授 (10280207)
加我 牧子 国立精神・神経センター, 精神保健研究所, 部長 (20142250)
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Keywords | 後天性小児失語症 / 失語症時の残存言語症状 / 小児失語症の評価法 / 小児失語症の学習不振 / 小児失語症検査の開発 / 小児失語症の実態調査 / 小児失語症時の指導上の課題 / アンケートの分析 |
Research Abstract |
本年度は、本研究の3年目として以下のような研究を行った。 1.小児失語症に残存する言語症状についての文献研究(最近10年の我が国の報告例より):進藤、荻野、玉井、加我は、国内小児施設における小児失語症児の訓練・指導法に関する文献を収集、検討する中で、失語症児に残存する言語症状について調査した。その結果次のような特徴が認められた。(1)語彙の貧困さ(低頻度語に顕著)、(2)漢字の音読障害、(3)漢字の書字障害、(4)短文の復唱障害、(5)統語障害、(6)意味理解障害、(7)心理社会適応などの問題、(8)失語症以外の高次脳機能障害などがみられ、それらが学習不振を引き起こしている。 2.小児失語症の評価についての調査:進藤、荻野、玉井、加我は、国内外の文献調査より、失語症児の言語評価法について、海外で用いている評価として、(1)成人の失語症検査、(2)小児の発達検査、(3)小児失語症検査の開発(Whurr et al.:1998)、日本で用いている検査として(1)成人の標準失語症検査、(2)ITPA言語学習能力診断検査、(3)WISC-R、(4)小児失語症構文検査2004について検討した。 3.小児失語症の実態調査結果の分析:進藤、荻野、玉井は、アンケートの回答が得られた失語症児36名について分析した結果、(1)大部分の失語症児は、音声言語によるコミュニケーションが可能なレベルに回復している、(2)呼称については、喚語困難、錯語、迂言などが残存する例がある、(3)平仮名、片仮名の習得に比べて漢字の習得に困難を示す例が多い、(4)語彙や九九など、新しい知識の学習に困難を示す、(5)学年が進むにつれて学習困難が顕在化する、(6)心理的サポートの必要性、(7)学習面のサポートの必要性、(8)周囲の理解を図るための橋渡しの必要性、(9)学校生活への適応の問題、(10)学習困難の問題、(11)適切な評価バッテリーと指導法の模索などについての指導上の課題が明らかになった。
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Research Products
(5 results)