2005 Fiscal Year Annual Research Report
小児失語症の言語・認知評価法の開発と言語指導・教育に関する研究
Project/Area Number |
14580308
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
進藤 美津子 上智大学, 外国語学部, 教授 (40082177)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荻野 美佐子 上智大学, 総合人間科学部, 教授 (70185528)
玉井 ふみ 県立広島大学, 保健福祉学部, 教授 (10280207)
加我 牧子 国立精神・神経センター, 武蔵病院・心理指導部, 部長 (20142250)
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Keywords | 後天性小児失語症 / 小児失語症の評価法 / 小児失語症の漢字音読検査 / 小児失語症の読み書き困難 / 健常児の漢字の音読評価 / 小児失語症のアンケート調査 / 脳機能障害による影響 / 視空間認知障害 |
Research Abstract |
本年度は、本研究の最終年度として以下のような研究およびまとめを行った。 1.小児失語症の評価法の開発として、小学校中学年用の漢字音読検査を試作・分析:進藤、荻野は、小学4年生の漢字の読みが習得困難である失語症児の問題を評価し、指導法を検討するために、漢字の音読検査を作成し、失語症児1名と小学3年〜6年生の健常児285名に実施した。健常児群では、小学中学年迄は、漢字の音読みよりも訓読みの方が優位であるが、高学年になると訓読みよりも音読み優位であり、成人の読みと同じ傾向を示し始めることが示唆された。一方、小児失語症児は、同学年の健常児よりも成績が低く、訓読みの方が優位であるが、読み誤りの傾向は健常児と類似していた。本検査は失語症児の読み発達レベルの評価に有用であると示唆された。 2.小児失語症のアンケート調査分析結果を検討し、学術講演会で報告:進藤、玉井、加我は、昨年度に実施した全国小児失語症実態調査の分析結果をさらに検討し、第50回日本音声言語医学会学術講演会で報告した。小児失語症の発症の性差については、原因疾患が頭部外傷による場合には男児が女児よりも2倍強多かった。学齢に達した失語症児達は、高学年になるほど特別支援学級や養護学校などに所属しており、通常の学級や学校で教育を受けることが厳しくなっていることが窺えた。脳機能障害による影響については、運動麻痺に加えて、視空間認知障害、記銘力障害、注意障害などが指摘されており、これらの症状が学習面に影響を及ぼしていると考えらる。 3.小児失語症に関する本研究結果のまとめを研究会で報告:進藤、荻野、玉井、加我は、上智大学言語障害研究センターにおける研究会にて、本研究の成果(文献研究、評価法の試案(2件)、小児失語症の全国実態調査結果)について報告した。これらの成果をまとめて研究報告書を作成した。
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Research Products
(2 results)