2005 Fiscal Year Annual Research Report
教科学習につながる外国人児童用日本語指導教材および教授法の開発
Project/Area Number |
14580323
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
横田 淳子 東京外国語大学, 留学生日本語教育センター, 教授 (40200894)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 幸江 東京外国語大学, 留学生日本語教育センター, 教授 (40114798)
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Keywords | 外国人児童 / 教科学習 / 日本語指導 / 教科書 |
Research Abstract |
教科学習につながる外国人児童用日本語教材の開発を続けると同時に、国語教育と日本語教育の違いを明確にするために、前年に調査した算数、社会、理科、せいかつの教科書のほかに、国語教科書の文型を調査した。これは、教育現場において国語教育と日本語教育の違いが十分に認識されず、低学年の国語の教科書が日本語指導に使われる傾向があるからである。 国語の教科書は日本語の表現力を豊かにすることが大きな目標とされており、地方・年齢・時代によって異なる言い方等が含まれ、表現が多様である。また、特に低学年の教科書では散文だけでなく、詩も多い。自分や他者の気持ちや感情を、言葉を使って正確に伝えたり受け取ったりすることに重点が置かれている。国語の教科書の文型にはそのような教科としての特徴があらわれている。 それに対して、日本語教育では情報授受の手段を与えることが主眼となり、表現の豊かさは次の段階の目標となる。算数、理科、社会の教科で情報授受を日本語で行うためには、少なくとも、連体修飾節、受身、可能、変化、目的等を表す表現が十分に使えなければならない。 教科学習に必要な情報授受のための文型を、媒介語を使わずに習得させる形態として、子どもに実習をさせ、その一連の流れを日本語で表現し、その日本語表現を学んでいくという教授法を編み出した。1つの課は教師の説明・実演、プリント、子どもの実習、日本語本文、日本語ワークシートの構成をもっている。文型は数課にわたってくりかえし出現し、全部で16課ある。この教材を小学校の日本語教室で試用してもらい、改良を重ね、理解補助となるイラストを多用して、どんな教師でも媒介語を使わずに、どんな外国人児童でも指導できるようにした。この教材をポスト初期段階に使い、教科の表現を意識して指導することによって、教科で必要な情報授受能力が養成される。
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Research Products
(1 results)