2003 Fiscal Year Annual Research Report
時間長、基本周波数、振幅が長母音の拍数知覚に果たす機能の解明
Project/Area Number |
14580336
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Research Institution | Prefectural University of Kumamoto |
Principal Investigator |
馬場 良二 熊本県立大学, 文学部, 教授 (30218672)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮園 博光 熊本県立大学, 総合管理学部, 助教授 (00229858)
宇佐川 毅 熊本大学, 工学部, 教授 (30160229)
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Keywords | 長母音の拍数知覚 / 時間長 / 基本周波数 / 振幅 / 熊本方言 / 語アクセント / 文音調 / イントネーション |
Research Abstract |
日本語教育で教授する日本語は日本全国で通用している共通語である。その共通語において、長母音の拍数がどのように知覚されるのか、時間長、基本周波数、振幅との関係を明らかにするのが本研究の目的である。 東京方言における拍やアクセントの実験音声学的研究、記述はかなりすすんでいるが、各方言のそれは音韻論的なものが多く、実験音声学的なものはまだ少ない。共通語の長母音の拍数知覚の解明のためであっても、被実験者は熊本方言話者のことが多い。また、熊本方言話者であっても、間違いなく日本語共通語話者であり、その発話が日本語共通語の総体の形成の一部となっている。そこで、平成15年度は熊本方言話者の言語音声の分析を課題とした。 青年層の熊本方言話者同士の日常の会話47分×3をデジタル録音し、そのうち2本は文字化、うち1本は分析した。分析方法は、全文から方言的言語要素を抽出し、表に書き写してデータを作成。表現したい内容を具体的に示している語句にはあまり方言的言語要素は現れないが、内容を盛り込む文型の部分や、文と文とをつなぐ部分に頻出する。会話全体のリズムを形作るのに、役立っていると考えられる。一方、言語の音声的な側面、イントネーションは基本的には熊本方言的である。 とくに、接続助詞として機能する「て」に着目した。基本的にはこの「て」の前にタキが来ること、「いう」「思う」などの伝達をあらわす動詞が続くなどして句を形成するときは、高いまま平、疑問のイントネーションをともなう文末の語の直前にあるときは、後ろにタキが来ることが分かった。 12月27目に九州大学文学部で開催された、筑紫国語学談話会で「現代熊本方言話者の発話における方言的要素の出現頻度について」という題目で口頭発表をした。
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