2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14580406
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中澤 恒子 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (00292839)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 恒昭 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (60334299)
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Keywords | 前提 / 形式意味論 / 語用論 / 推論 / アブダクション |
Research Abstract |
本研究は「前提の投射問題」を解決することを目的とする。「前提」とは,談話や文脈において,それらを構成する文が直接表現する意味以外に,文脈中で間接的に派生する意味のことを指す。前提は文脈中の先行文によって表現されているとは限らず,この研究では,要素文から前提が派生する過程を解明し,さらには要素文から前提の予想を可能にする形式化を目標とする。 本年度は,実際の談話に基づくデータベースを用いて,文脈中の前提が,その要素文から派生する様々な過程の分析を行った。文が前提をもって発話,解釈されるトリガとなる文中の要素として,構文(クレフト文等),動詞(「後悔する」「知っている」等),その他の文要素(定冠詞、所有格名詞等)などを特定し,それらが誘発する前提の内容を文脈中の先行文から抽出する方式,さらには文脈中に明示されない前提を推論する方式の研究を行った。例えば,「知っている」という動詞は,動詞の補文の意味内容にあたる命題を前提として誘発する。 また,条件節を含む文について,前提が派生する場合としない場合の同定を,選好理論,優先度付き理論,一貫性理論に基づいて行った。これらの理論に加えて,先行研究の中では扱っていない条件節の「時制」を,談話意味論の形式に基づく文の意味表記に加え,それを推論方式の要素として採用することで,これまで正し く予測されなかった前提の推論を可能とした。 アメリカ・イリノイ大学で語用論の研究者であるGeorgia GreenやJerry Morganらと意見交換し,情報を収集した。
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Research Products
(1 results)