2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14580473
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
土橋 律 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (30237177)
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Keywords | 粉じん爆発 / 可燃性粉体 / 着火 / 火炎伝ぱ / 安全 / 粒径分布 / 高速度撮影 / 燃焼モデル |
Research Abstract |
本研究では、粉じん爆発現象の科学的現象解明をおこない、粉じん爆発に対する安全管理手法の高度化に資する情報を得ることを目的として、実験およびモデル化を主体とした研究を3年計画でおこなってきた。最終年の平成16年度は、平成14,15年度に製作調整した実験装置・測定システムをf削、て、浮遊粉じん中を伝ぱする火炎の構造および火炎伝ぱ機構について詳細な解析をおこなうとともに、実験解析結果をもとに粉じん爆発現象のモデル化をおこなった。 平成16年度は、平成14,15年度の実験を拡張して系統的にデータを取るため、粉じんの粒径分布や濃度をさらに変化させた実験をおこない、火炎構造や伝ぱ挙動との関係をより詳しく調べた。また測定では、可視域でのビデオによる観察、および紫外波長での火炎の観察(燃焼反応帯からの化学発光の検出)を同時におこない、火炎構造および火炎伝ぱ機構を詳細に解明した。 結果として、火炎の先端である燃焼化学反応の開始位置は、可視域の観察で発光部として認識される火炎先端よりも、数mm前方にあることを、可視域と紫外域の同時観察により確認した。この紫外域で観察される燃焼化学反応の開始位置は、火炎の実質的な先端であり、この部分の燃焼化学反応は小さな粉じん粒子の燃焼によって支えられていると考えられる。これは、粒径分布を変化させた実験において、燃焼限界が小さな粒子の数密度に強く依存するという結果からも理解できる。以上の火炎構造および火炎伝ぱに関する実験事実は、粉じん爆発の発生機構を理解する上で大変重要な知見であるといえる。 上述の結果および平成14,15年度の結果を総合的に解析して粉じん爆発時の火炎伝ぱ機構についてモデル化をおこなった。温度上昇のある火炎帯に、粉じんが入っていき、気化、燃焼する過程について、熱移動、気化、物質輸送などの点から理論的に解析し、モデル化をおこなった。粉じんの粒径が小さいものと大きいものでは燃焼における役割が違う点に着目したモデル化をおこなった。粉じん爆発現象の理解や予測をおこなう上で、有意義な成果が得られたといえる。
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Research Products
(3 results)