2004 Fiscal Year Annual Research Report
災害リスク下の防災計画と都市計画の政策プロセス-自治体における防災型土地利用規制/計画の展開とその評価-
Project/Area Number |
14580501
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
増田 聡 東北大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (30231591)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村山 良之 東北大学, 大学院・理学研究科, 講師 (10210072)
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Keywords | 都市計画 / 防災計画 / ニュージーランド / 資源管理法 / 地質・核科学研究所 / 資源同意 / 地区計画 / 断層破断リスク |
Research Abstract |
本年度は、まず始めに、昨年実施した宮城県沖及び宮城県北部の地震に関する調査成果をとりまとめ、論文等として公表した。次に、我が国と並んで地震災害の多いニュージーランドを海外事例として取り上げ、活断層を対象とする資源管理法体系下での防災計画と都市計画の策定プロセスについて現地調査(約1週間)を行い、都市計画学会等で報告した。 ニュージーランドでは、旧来の多くの都市計画関連や環境関連法等を統合して、1991年に資源管理法が制定された。同法は、環境保全や防災対策等の幅広い内容をも含む都市計画の基本的法規である。計画権限を有する基礎自治体(city and district Council)は、地区計画(district plan)を策定し、「資源同意」と呼ばれる許可制度を用いて、開発や建築・土地利用のコントロールを行っている。「資源同意」は、評価基準に依拠しつつ基礎自治体と開発・建築申請者との同意に基づく、柔軟性をもつ許可制度である。地方分権の中で、基礎自治体の裁量が拡大される一方で、防災対策の自治体間格差の広がってきており、その対応が求められていた。 以上の課題に対して、環境省と地質・核科学研究所は対応策の検討を進め、2004年にその成果を報告書「Planning for Development of Land on or Close to Active Faults : A guideline to assist resource management planners in New Zealand」にまとめている。本年度の研究では特に、同報告書が提案したリスクベースの土地利用規制・誘導手法の提案に着目し、その紹介と考察を進めた。この提案は、活断層破断リスク(再来周期×地形変位の明瞭性)と建物重要度分類×開発地(未開発地/既成市街地の別)を考慮して、禁止〜交渉(裁量)〜原則自由までのランクを有する「資源同意」を与えるという試みである。最後に、以上のニュージーランドの提案を踏まえ、日本における同様な政策手段の適用可能性を検討した。
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Research Products
(8 results)