2002 Fiscal Year Annual Research Report
水文化学的手法による火山湧水からのマグマ起源二酸化炭素の流出フラックスの評価
Project/Area Number |
14580504
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大沢 信二 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (30243009)
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Keywords | 火山 / 湧水 / 二酸化炭素 / 同位体 / フラックス |
Research Abstract |
本研究の目的は,中部九州の主要な活火山:九重火山,阿蘇火山,雲仙火山の湧水にマグマ起源の二酸化炭素(CO_2)の混入が認められるか,認められるならばそのような湧水の分布はどのような地質構造の規制を受けているか,火山全体の湧水としてはどのくらいのマグマ起源CO_2の流出フラックスがあるか,火口や噴気地帯から火山ガスとして放出されるCO_2の量と比べて大きいのかそれとも小さいのかといったことを同位体水文学・地球化学的調査によって明らかにすることにある. 本年度は,2002年11月に九重火山及びその周辺地域の湧水約90箇所で簡易水質測定(pHと電気伝導度)と流出量観測ならびに化学・同位体分析用の採水を行った.採取試料については,主要溶存成分の化学分析と溶存全炭酸(DIC)の濃度および炭素安定同位体比(δ^<13>C)の測定を行った.〔なお,水の水素・酸素安定同位体比(δD・δ^<18>O)の測定は現在進行中である.〕 採取試料水の化学・同位体分析により,高いDIC濃度を示す湧水が,九重火山(群)の北東側と南東側に帯状に配列していることが明らかとなり,そのような高濃度を示すDICのδ^<13>C値は火山ガスのCO_2の値に近いことが示された.また,全湧水のDICの濃度とδ^<13>C値の解析(δ^<13>C対1/DIC濃度プロット)から,「九重火山の湧水のDICは土壌CO_2を溶解した地下水にマグマ起源のCO_2が様々な割合で付加したものである」ことが示された.以上の結果は,雲仙火山と同様に九重火山にも深い断裂系(断層?)が火山体に存在し,それを通して深部よりマグマ起源のCO_2が上昇してきて浅層地下水に流入していることを示唆している.
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Research Products
(1 results)