2002 Fiscal Year Annual Research Report
わが国沿岸および周辺海域における気象要因別波高極値の母分布の推定
Project/Area Number |
14580506
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
山口 正隆 愛媛大学, 工学部, 教授 (60027266)
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Keywords | 波高極値 / 母分布 / 台風時波浪 / 低気圧時波浪 / 波浪観測資料 / モンテカルロシミュレーション / 波浪推算 / 北西太平洋 |
Research Abstract |
1.日本海における台風時波高極値の推定 過去50年の既往台風や10,000年のシミュレーション台風に伴う波高の推算資料から年最大波高資料を作成し,これに対する極値統計解析によって,日本海全域における確率波高とその信頼区間を推定した。この結果によれば,既往台風時資料およびシミュレーション台風時資料のいずれによっても,日本海における台風時確率波高は中央部の最大域を中心としてSW-NE方向を長軸とする楕円状空間変化を示し,その値は日本海中央のブイ地点や沿岸部の松前における観測資料に基づく結果ともほぼ符合する。また,推算波高資料の標本分布は非対称な分布をもち,Gumbel分布や形状母数2以上のWeibull分布で近似される。 2.北西太平洋における気象要因別波高極値の母分布の推定 北西太平洋における既往の台風(50年)や低気圧(20年)とシミュレーションによる台風(20,000年)や低気圧(10,000年)に伴う台風時・低気圧時年最大波高資料を得た。推算対象擾乱数は既往気象擾乱の場合300〜400ケースに過ぎないが,シミュレーション気象擾乱の場合160,000〜350,000ケースと圧倒的に多いことから,確率波高の母分布推定に十分な大標本が得られる。各年最大波高資料に対する極値統計解析結果によれば,台風時年最大波高資料の母分布は形状母数を沖縄付近の5から四方に向けて1.4に減少させるWeibull分布で,低気圧時年最大波高資料の母分布は北東海域での形状母数2から三方に向けて1.4に減少させるWeibull分布で,その外側の海域(日本沿岸全域を含む)でGumbel分布で表される。また,裾長度パラメータ(50年・10年確率波高比)は既往気象擾乱に対する結果と定性的に対応し,台風の場合には定量的にもある程度符合する。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] 野中浩一, 山口正隆, 畑田佳男, 大福 学: "確率的台風モデルを利用した波高極値の推定システムの日本海における適用性"海岸工学論文集. 第49巻. 176-180 (2002)