2003 Fiscal Year Annual Research Report
火山災害に対する防災意識の社会構造的要因に関する研究
Project/Area Number |
14580509
|
Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
田中 淳 東洋大学, 社会学部, 教授 (70227122)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宇井 忠英 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (10007164)
|
Keywords | 火山災害 / 防災意識 / 住民意識調査 / 事前対策 / 社会構造 |
Research Abstract |
昨年度の駒ヶ岳周辺住民の意識調査から、近隣集団や職場・同業者集団といった地域社会の中で、火山イベントについて伝達や解釈が行われていること、意識レベルが高い地域ほどその傾向が高いこと、が分かった。今年度は、その結果を深化、一般化させるために主に以下の2つについて調査、研究した。 第1に、鹿部町にある別荘分譲地を対象地として、防災に関わる意識とそれを中心とする町内会活動を巡る対立構造とを調査した。この別荘分譲地は、別荘地として分譲されながら、高齢者を中心とする定住者が多くなり、しかも火砕流の危険性が極めて高い地域ながら購入後に始めてその危険を知らされた地区である。無関心派が多い中で、自衛のために組織化を志向する住民が住民組織を立ち上げながら、内部対立をはらみ組織変更を繰り返してきた。そのことが地元勉強会の効果を制約する働きをしていた。 第2に、駒ヶ岳と同様に有珠山の隣接火山である樽前山周辺住民に対する意識調査を行った。住民意識は、地域構造というよりも危険度に応じて大きな差が見られ、ハザードマップを元にした地元の苫小牧市による防災広報が成果をあげていることが確認された。ただし、意識の低い層が自地域の危険性の評価自体を知ってはいないことや、不安や噴火可能性も含めて噴火自体への関心も低いといった問題が見出された。また、駒ヶ岳小噴火は、住民間で話題となっていなかった。このことから、本研究が目指す「何を伝えるか」という問題から見て、地元市ならびにマスメディアは防災普及面でもっと活用すべきだったことが分かった。
|
Research Products
(1 results)