2002 Fiscal Year Annual Research Report
高温超伝導磁気浮上コイルの画像処理を用いた浮上制御とその安定化に関する研究
Project/Area Number |
14580532
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Research Institution | National Institute for Fusion Science |
Principal Investigator |
柳 長門 核融合科学研究所, 大型ヘリカル研究部, 助教授 (70230258)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
力石 浩孝 核融合科学研究所, 大型ヘリカル研究部, 助教授 (60249969)
濱口 真司 核融合科学研究所, 大型ヘリカル研究部, 助手 (00311209)
三戸 利行 核融合科学研究所, 大型ヘリカル研究部, 教授 (10166069)
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Keywords | 磁気浮上 / 核融合プラズマ / 高温超伝導 / デジタル制御 / LabVIEW / PID制御 / 画像処理 / 浮上安定化 |
Research Abstract |
先進的な核融合プラズマ実験装置等への応用を目的として、超伝導コイルを磁気浮上させることによってタイポール磁場を発生させる装置システムの検討が、東京大学高温プラズマ研究センターを中心として進められている。同センターでは、超高ベータプラズマ閉じ込め装置Mini-RTの建設が行われ、初期プラズマ実験を開始している。同装置の超伝導コイルには、銀シース安定化ビスマス2223テープ状超伝導線材約400mが使われており、核融合プラズマ実験装置として世界初の高温超伝導コイルの採用例となっている。こうした装置において超伝導コイルの安定した浮上制御を行うために、複数のレーザー距離計を組み合わせて浮上位置を調べる方式を適用することが現在のところ検討されている。しかしながら、レーザーによる位置計測は本質的に局所的であり、コイル表面に存在する凹凸等による擾乱を受けることによって、浮上制御が不安定になることが考えられる。そこで、本研究では、CCDカメラを用いた画像処理によって厚上コイルの位置情報を検出し、これをもとに必要な浮上制御を行うことを最終目標として計画を進めている。本年度における課題として、まずは従来用いてきたアナログPID制御回路の代わりに、デジタル制御方式を採用するところから研究を開始した。ただし、浮上コイルの位置検出には、これまでに実績のあるレーザー距離計を用いている。デジタル制御には、必要に応じてソフトウェアを変更できる点を利用してパソコンを用いており、グラフィック制御ソフトウェアLabVIEWを用いてプログラミングを行っている。パソコンは同時に2台使用し、1台はレーザー距離計による位置信号を検出するとともに、PID制御ルーチンを常時働かせて吊り上げコイルの電流値をフィードバック制御している。これにより、従来のアナログ回路よりもはるかに高い動作特性を有したシステムを完成させることができた。2台目のパソコンにはCCDカメラが接続されており、これを用いて画像取得を行うとともに、フィードバック制御のためのパラメターを1台目のパソコンに送信することにより、浮上制御を中断することなくリアルタイムでパラメター変更を行うことができる仕様となっている。また、画像イメージの取得、および、制御パラメターの変更は、ネットワークで接続された遠隔のパソコンからも行うことができる仕様となっており、実際に超高速ネットワークSuper SINETを利用して、東京大学等から制御実験を行い共同研究に供することも実現している。 来年度は、CCDカメラで得られた浮上コイルの画像をデジタル処理することによってコイルの位置検出を行い、実際に浮上制御を行う方式としてグレードアップする計画である。その際、カメラを複数台用意することによって、浮上コイルの高さ情報だけでなく水平面からの傾きも検出し、この情報をもとに浮上コイルの周囲に配置された補助コイルの電流値を制御することによって厚上コイルの姿勢を制御することを考えている。補助コイルによる姿勢制御については、現在、静止状態においてその基礎実験を行っているところてあり、必要な電流値を早急に決定する予定である。また。超伝導コイルの磁束保存特性を利用した自己安定な磁気厚上に関する実験や、バルク超伝導体を付加して安定性を向上させる試みについてもテストする計画となっている。そのために、小型の高温超伝導コイルを新規に製作することも検討しており、現在、詳細設計を行っている。
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