2003 Fiscal Year Annual Research Report
微細フィンと蒸発器一体化によるコンパクト吸収器の研究
Project/Area Number |
14580534
|
Research Institution | TOKYO INSTITUTE OF TECHNOLOGY |
Principal Investigator |
長崎 孝夫 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 助教授 (30155923)
|
Keywords | 吸収式ヒートポンプ / 蒸発器 / 吸収器 / 臭化リチウム水溶液 |
Research Abstract |
吸収式ヒートポンプの小型化においては特に低圧側の吸収器・蒸発器のコンパクト化が重要となるが、従来の管群型では蒸気流速の増加による圧力損失増大と液の飛散のため、そのコンパクト化には限界がある。そこで本研究では吸収面および蒸発面を鉛直プレートととし、吸収面と蒸発面を交互に積層して一体化することを提案し、その基礎として鉛直平板壁面における吸収・蒸発促進、および蒸発面と吸収面を対向させた場合の特性について研究を行った。昨年度の壁面突起による吸収促進に関する研究に続き、本年度はまず蒸発面の高性能化を図るため壁面にメッシュを取り付けて蒸発実験を行った。壁面およびメッシュはいずれも銅製であり、予め半田メッキした壁面にメッシュをホットプレスして接合した。メッシュサイズとして#20、#40、#60の3種類を用い、平滑壁の場合と比較した。まず平滑壁の蒸発熱伝達率に関する実験値を平滑液膜の理論値と比較した結果、液膜レイノルズ数が約10以上では両者はほぼ一致するが、それ以下では液膜が筋状となるため蒸発性能が低下することが分かった。メッシュ壁の熱伝達率は平滑壁に比べて大きく、その促進効果は#40、#20、#60の順に大きく、平滑壁に比べて最大約2倍の熱伝達率が得られた。これらの結果よりメッシュ壁では毛管効果による液の保持、およびフィン効果により蒸発が促進されるが、メッシュが細かすぎると液が充満して促進効果が低下するためメッシュサイズには最適値が存在することが分かった。さらに蒸発面と吸収面を対向させた場合の実験を行った。蒸発面および吸収面は幅42mm、長さ125mmであり、蒸発面には冷媒液である水を流下させ、吸収面には臭化リチウム水溶液を流下させる。液流量を種々に変化させて実験を行った結果、蒸発性能と吸収性能のバランスにより系圧力が変化し、蒸発・吸収量が最大となる最適流量条件が存在することが分かった。
|