2002 Fiscal Year Annual Research Report
ドナー性およびアクセプター性共役高分子ブレンド膜太陽電池の色素増感による高効率化
Project/Area Number |
14580536
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
高橋 光信 金沢大学, 工学部, 助教授 (00135047)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中本 義章 金沢大学, 工学部, 教授 (20019772)
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Keywords | 有機太陽電池 / 共役高分子 / 光誘起電子移動 / ポルフィリン / ポリチオフェン / 光起電力効果 |
Research Abstract |
共役高分子である可溶性ポリチオフェンを用いた有機薄膜太陽電池のポルフィリンによる色素増感について検討した。ポリチオフェンにポルフィリンをブレンドすることによって、それぞれの単独膜に比べて30倍以上のエネルギー変換効率が観測された。このブレンド膜セル(Al/ブレンド膜/Auサンドイッチ型セル)でのエネルギー変換効率の最高値は、半透明Al電極透過後の微弱単色光(20μW/cm^2,430nm)ではあるが、1.17%であった。この色素増感効果は、ブレンド膜内で、ポルフィリンからポリチオフェンへの光誘起ホール移動が容易に起こるためである。すなわち、光照射によって形成した電子励起状態のポルフィリン色素がアクセプター、基底状態のポリチオフェンがドナーとして作用した。この光誘起ホール移動は、ドナー・アクセプター間の酸化電位差(すなわち熱力学的駆動力)と両者の共役骨格の近接の度合いに支配された。そのため、ドナー・アクセプター間の酸化電位差が大きいほど、また、ポリチオフェン分子内のS原子が亜鉛ポルフィリンのZn^<2+>イオンに軸配位して近接するほど大きな光電流が観測された。 一方、共役高分子である可溶性ポリフェニレンビニレンと色素のブレンド膜を用いた有機薄膜太陽電池では、上記のような色素増感効果は観測されなかった。この理由は、まだ良く分からない。しかし、可溶性ポリフェニレンビニレンとその共役高分子の共役骨格に電子吸引性のシアノを導入したシアノポリフェニレンビニレンをブレンドしたドナー・アクセプター共役高分子ブレンドセルでは、それぞれの単独薄膜から作製した太陽電池に比べて、格段に良好な光電変換特性を示した。平成15年度は、このタイプの有機薄膜太陽電池の光起電力効果発現機構を検討する予定である。
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Research Products
(1 results)