2004 Fiscal Year Annual Research Report
残存シラノール基の配位特性に基づくオキシン銅分析法の高性能化と環境動態解析
Project/Area Number |
14580546
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
上原 伸夫 宇都宮大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (50203469)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 得夫 宇都宮大学, 工学部, 助教授 (10107013)
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Keywords | オキシン銅 / 高速液体クロマトグラフィー / 環境動態解析 / 河川水 / オンライン濃縮 / 農薬 / 環境基準 / 黒鉛炉原子吸光法 |
Research Abstract |
研究最終年度に当たる平成16年度は以下の3項目について検討した。 1)平成15年度に開発した溶媒抽出法と黒鉛炉原子吸光法とを組み合わせた速度論的化学種分析法を,銅化学種だけではなくカドミウム化学種についても適用した。その結果,カドミウム化学種の生成は,河川水中のフミン酸とカドミウムイオンとの錯形成反応によることが明らかとなった。更に,生成したカドミウム化学種の存在割合に及ぼすフミン酸の分子量依存性について検討した。その結果,分子量が比較的小さい2万までのフミン酸が,カドミウム化学種の生成に強く関与していることを明らかにした。また,速度論的化学種分析の基礎となる階段状の抽出プロファイルについて検討した結果,従来のフミン酸モデルの変更を迫る逐次反応モデルを構築することができた。この研究の一部を雑誌論文に発表した。 2)15年度に開発したオキシン銅の解離反応速度定数を算出するための速度解析法を用いて,競合配位子(フミン酸のモデル配位子)共存下でのオキシン銅の解離反応速度定数を測定した。また,吸光光度法によるオキシン銅と競合配位子との配位子交換反応速度定数を決定した。その結果,競合配位子が存在すると,オキシン銅を解離反応速度は飛躍的に増大することを見出した。この解離反応速度の増大は,配位子交換反応においてオキシン銅の解離反応が律速段階ではないことを示唆しており,中間体(複合錯体)の生成が示唆された。 3)オキシン銅とフミン酸との相互作用について,吸光光度法により検討した。その結果,オキシン銅の溶存・析出に対し,フミン酸が重要な役割を果たしていることを明らかにした。即ち,低濃度のフミン酸は,オキシン銅の溶解性を増加させる一方で,フミン酸の濃度が増加すると,フミン酸が析出の核となり,オキシン銅の析出を促進させることを見出した。このように,フミン酸はその濃度により,オキシン銅に対して逆の効果をもたらすことを明らかにした。
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Research Products
(1 results)