2004 Fiscal Year Annual Research Report
農耕地を起源とするダイオキシン類の拡散に関する研究
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14580551
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
河野 公栄 愛媛大学, 農学部, 助教授 (50116927)
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Keywords | ダイオキシン類 / PCDD / DFs / コプラナーPCBs / 化学物質汚染 / 農作物 / 食品汚染 / 農耕地土壌 / 土壌汚染 |
Research Abstract |
ダイオキシン類(PCDD/DFs及びコプラナーPCBs)は、これまで幾つかの事例で明らかなように具体的にヒトに対し健康被害を及ぼしたという観点から今日知られている環境汚染物質の中でも特筆すべき強毒性化学物質と言える。しかも環境中で難分解性であり、生態系を通じてヒトをはじめ高次生物に濃縮されることからその汚染実態と環境中におけるゆくえについて社会的関心が高い。ダイオキシン類は都市ゴミ焼却施設における廃棄物の燃焼による生成が知られているが、特に我が国の場合、農薬中に不純物として含まれていたダイオキシン類の農薬散布に伴う農耕地土壌汚染が顕著で、欧米に見られない特異的な汚染状況を呈しており我が国独自の視点に立脚した研究を展開する必要がある。本年度は、農作物中の濃度レベルを明らかにし食品としての汚染評価を行った。さらに圃場栽培を行い土壌から作物への移行と植物体内における移動と大気からの吸着など蓄積機構について検討した。農作物試料は市販品を分析に用いたが、全試料からダイオキシン類が検出され、総濃度0.19-16pg/g(平均3.9pg/g湿重)、毒性当量(TEQ)は0.002-0,071pg TEQ/g湿重であった。特に濃度が高い同族・異性体1,3,6,8-TCDD及び1,3,7,9-TCDDであった。これらの化合物は除草剤CNP中に不純物として含まれていた主要な成分で、農耕地土壌中の濃度が比較的高く農作物に付着・吸着され易いことが考えられる。検討した野菜類の中できゆうりが比較的高い濃度傾向を示した。そこで圃場できゆうりを栽培し、きゆうりの部位別の濃度を明らかにした。その結果、濃度順位は根>茎>葉>実の皮>実の内部という関係が見られた。ダイオキシン類の化合物間で濃度比較を行うと、根と土壌はほぼ等しく、PCDDs>PCDFs>コプラナーPCBsであったが、茎と葉ではPCDDs>コプラナーPCBs>PCDFsであり、また実でもPCDDs>コプラナーPCBs>PCDFsという関係が見られた。この植物体の部位別濃度分布から、コプラナーPCBsは根から吸収され植物体を比較的移動し易いことが、それに対しPCDDsは植物体内での移動性が低いことが推定された。このようにダイオキシン類は、作物の根から吸収され地上部の茎、葉、実に分配されることをしさしたが、大気から吸収し植物体内に浸透している可能性も考えられた。
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Research Products
(4 results)